第2章 FreeBSD のインストール

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2.1. この章では

FreeBSD は、amd64, ARM®, RISC-V®, および PowerPC® 等のさまざまなアーキテクチャに対応しています。

インストールまたは直接 FreeBSD を実行するためのイメージは、アーキテクチャおよびプラットフォームごとに ダウンロード できます。

利用できるイメージのタイプは以下の通りです。

  • qcow2, vmdk, vhd および raw デバイスイメージといった仮想マシンのディスクイメージ。これらはインストール用のイメージではなく、FreeBSD がすでにインストールされたインスタンスで、すぐに起動して、インストール後の作業を行うことができます。仮想マシンのイメージは、クラウド環境でも使われます。

  • Raspberry Pi のような組み込みシステム用の SD カードイメージ。これらのファイルをダウンロードしたら、展開し、ボードが起動するように raw イメージとして SD カードに書き込んでください。

  • ISO または USB デバイスから起動して、FreeBSD を通常のデスクトップ、ラップトップ、サーバシステムのドライブ上にインストールするためのインストールイメージ。

この章では、3 番目のケースについて、bsdinstall と呼ばれるテキストベースのインストールプログラムを用いた FreeBSD のインストール方法について説明します。

この章では、以下について説明します。

  • FreeBSD イメージの入手方法および FreeBSD インストールメディアの作り方。

  • bsdinstall の起動方法。

  • bsdinstall が聞いてくる質問がどのような意味であり、 またどのように答えれば良いか。

  • インストールに失敗した時の問題の解決方法。

  • インストールを確定する前に、 FreeBSD の live 版へアクセスする方法。

2.2. 最小ハードウェア要件

FreeBSD をインストールするために必要なハードウェア要件は、アーキテクチャおよびバージョンごとに異なります。 FreeBSD の各リリースが対応しているハードウェアアーキテクチャおよびデバイスの一覧は、 FreeBSD リリース情報 のページにまとめられています。 アーキテクチャごとに推奨される適切なイメージの選択に関しては、 FreeBSD ダウンロードページ でも説明されています。

2.3. インストール前に行う作業

システムが FreeBSD のインストールのための最小ハードウェア要件を満たしていることを確認したら、インストールファイルをダウンロードして、インストール用のメディアを用意してください。 その前に、以下のチェックリストを確認して、システムをインストールする準備ができていることを確認してください。

  1. 重要なデータのバックアップ

    オペレーティングシステムをインストールする前に、 常に 価値のあるすべてのデータを最初にバックアップしてください。 インストールしようとしているシステムにはバックアップを保存しないでください。 そのかわり、USB ドライブ、ネットワーク上の他のシステム、もしくはオンラインのバックアップサービスといったリムーバルディスクにデータを保存してください。 インストールを始める前に、バックアップを調べて、必要なすべてのファイルがバックアップに含まれていることを確認してください。 インストーラがシステムのディスクをフォーマットしてしまうと、ディスクに保存されていたすべてのデータは失われます。

  2. FreeBSD をインストールする場所の決定

    インストールするオペレーティングシステムが FreeBSD のみであれば、 このステップは飛ばすことができます。 しかし、ディスクに FreeBSD と 他のオペレーティングシステムを共存させる必要がある場合には、FreeBSD が利用するディスクおよびパーティションを決める必要があります。

    i386 および amd64 アーキテクチャでは、 二つのパーティションスキームのどちらかを使って、 ハードディスクを複数の塊に分割することができます。 伝統的な Master Boot Record (MBR) では、ディスク 1 台あたり最大 4 つの プライマリパーティション をパーティションテーブルに持つことができます。 歴史的な理由により、FreeBSD では、これらのパーティションのことを スライス と呼びます。 プライマリパーティションの 1 つに、複数の 論理パーティション を含む 拡張パーティション を作成できます。 GUID Partition Table (GPT) は、ディスクをパーティションに分ける簡単で新しい方法です。 一般的な GPT の実装では、1 つのディスクに 128 個までのパーティションの作成が可能であり、論理パーティションは必要ありません。

    FreeBSD のブートローダは、プライマリまたは GPT パーティションのどちらかを必要とします。 ディスク上のプライマリ、もしくは GPT パーティションがすべて使われているのであれば、 そのひとつを FreeBSD のために開放してください。 ディスクにあるデータを消去せずにパーティションを作成するには、 パーティションサイズを変更するツールを使って今あるパーティションのサイズを小さくし、 空いたスペースに新しいパーティションを作成してください。

    パーティションサイズを変更するためのフリーまたは商用のツールは、 List of disk partitioning software wikipedia entry にまとめられています。 GParted Live は、GParted パーティションエディタを含むフリーのライブ CD です。

    ディスクパーティションを縮小するユーティリティは、 適切に用いるとパーティション用の空き容量を新しく安全に作成できます。 すでにあるパーティションを間違って選択してしまう可能性があるので、 ディスクのパーティションを変更する前に、 必ず重要なデータのバックアップをとり、 バックアップが正しくとれていることを検証してください。

    ディスクパーティションごとに異なるオペレーティングシステムをインストールすることで、 一つのコンピュータに複数のオペレーティングシステムをインストールできます。仮想化技術 を用いると、ディスクパーティションを変更することなく、複数のオペレーティングシステムを同時に起動できます。

  3. ネットワーク情報の収集

    FreeBSD のインストール方法によっては、ネットワークに接続し、 インストールファイルをダウンロードする必要があります。 インストールする方法に関わらず、インストール後に、 インストーラはシステムのネットワークインタフェースの設定をする機会を提供します。

    ネットワークに DHCP サーバがあると、 自動的にネットワークの設定情報を取得できます。 DHCP を利用できない環境では、 システムの以下のネットワーク情報について、 システム管理者かプロバイダにネットワーク情報を問い合わせる必要があります。

    1. IP アドレス

    2. サブネットマスク

    3. デフォルトゲートウェイの IP アドレス

    4. ネットワークのドメイン名

    5. ネットワークの DNS サーバの IP アドレス

  4. FreeBSD Errata の確認

    FreeBSD プロジェクトでは FreeBSD の各リリースができる限り安定するよう努力していますが、 時々バグが発生してしまうことがあります。 極まれに、発生したバグがインストールプロセスに影響を与えることがあります。 これらの問題は発見され解決されると、FreeBSD の各バージョンごとに Errata ページに記載されます。 インストールに影響するような既知の問題が無いことを、インストールする前に Errata で確認してください。

    すべてのリリースに関する情報や Errata は、 リリース情報 のページで確認できます。

2.3.1. インストールメディアの準備

FreeBSD のインストーラは、 他のオペレーティングシステムで実行できるようなプログラムではありません。 そのかわり、FreeBSD インストールファイルをダウンロードしたら、 ファイルタイプやサイズに合わせてメディア (CD, DVD または USB) に焼いてください。そして、挿入したメディアからインストールするように、 システムを起動してください。

FreeBSD のインストールファイルは FreeBSD ダウンロードページ から入手できます。 各インストールファイルの名前は、FreeBSD のリリースバージョンおよびアーキテクチャ、ファイルタイプから構成されます。

インストールファイルは、さまざまな形式で、xz(1) により圧縮されたファイルまたは圧縮されていないファイルが用意されています。 用意されているフォーマットは、 コンピュータのアーキテクチャやメディアのタイプによって異なります。

インストールファイルの形式

  • -bootonly.iso: インストーラのみを含む最小のインストールファイルです。 インストールを行う間、インストーラは FreeBSD をインストールするために必要なファイルをダウンロードするため、ネットワーク接続が必要です。 このファイルは、光学メディアに書き込む必要があります。

  • -disc1.iso: FreeBSD のインストールに必要となる、ソースおよび Ports Collection といったすべてのファイルが含まれています。 このファイルは、光学メディアに書き込む必要があります。

  • -dvd1.iso: FreeBSD のインストールに必要となる、ソースおよび Ports Collection といったすべてのファイルが含まれています。 インターネットに接続することなく、メディアのみでシステムのインストールを完了できるように、良く使われるウィンドウマネージャおよびアプリケーションをインストールするためのバイナリ package も含まれています。 このファイルは、光学メディアに書き込む必要があります。

  • -memstick.img: FreeBSD のインストールに必要となる、ソースおよび Ports Collection といったすべてのファイルが含まれています。 イメージファイルを USB に書き込む で説明されている手順に従って、このファイルを USB スティックに書き込んでください。

  • -mini-memstick.img: -bootonly.iso と同じく、インストールファイルは含まれていないため、必要に応じてダウンロードする必要があります。 インストールを行う間、ネットワーク接続が必要です。 イメージファイルを USB に書き込む の説明に従って、USB スティックに書き込んでください。

イメージファイルをダウンロードしたら、同じディレクトリから少なくとも一つの チェックサム ファイルをダウンロードしてください。 2 つの チェックサム ファイルが利用可能です。 これのファイル名にはリリース番号とアーキテクチャ名がついています。 たとえば CHECKSUM.SHA256-FreeBSD-13.1-RELEASE-amd64 および CHECKSUM.SHA512-FreeBSD-13.1-RELEASE-amd64 という名前がつけられます。

どちらかの (もしくは両方の) ファイルをダウンロードしたら、イメージファイルの チェックサム を計算し、 チェックサム ファイルに示されている値と比較してください。 計算した チェックサム は、2 つの異なるアルゴリズム (SHA256 および SHA512) に対応する適切なファイルと比較してください。 FreeBSD では、チェックサム のために sha256(1) および sha512(1) を提供しています。 他のオペレーティングシステムでも同じようなプログラムを利用できます。

FreeBSD での チェックサム の検証は、以下のように sha256sum(1) (または sha512sum(1)) を使用して自動的に行うことができます。

% sha256sum -c CHECKSUM.SHA256-FreeBSD-13.1-RELEASE-amd64 FreeBSD-13.1-RELEASE-amd64-dvd1.iso
FreeBSD-13.1-RELEASE-amd64-dvd1.iso: OK

チェックサムは完全に一致している必要があります。 もしチェックサムが一致しなければ、 イメージファイルが壊れている可能性があるので、もう一度ダウンロードしてください。

2.3.1.1. イメージファイルを USB に書き込む

*memstick.img ファイルは、完全なメモリスティックの内容の イメージ です。 これは、通常のファイルのように対象のデバイスにコピーすることは できません。 USB スティックへ *.img を書き込むためのアプリケーションは複数あります。 この節ではこのうちの二つのユーティリティについて説明します。

先に進む前に、USB スティックに存在する重要なデータをバックアップしてください。 以下の手順を実行すると、 スティックに存在するデータは削除されます。

Procedure. dd を使ってイメージを書き込む

この例では、イメージの書き込み先のターゲットデバイスとして、/dev/da0 が使われています。 ここで使われるコマンドは、 指定したターゲットデバイスに存在しているデータを破壊してしまうので、 正しいデバイスが指定されていることに 細心の注意を払ってください

  1. dd(1) コマンドユーティリティは、 BSD, Linux®, および Mac OS® システムで利用できます。 dd を使ってイメージを焼くには、 USB スティックを挿入して、 デバイス名を確定してください。 その後、ダウンロードしたインストールファイルおよび、 USB スティックのデバイス名を指定してください。 この例では、amd64 インストールイメージを FreeBSD システムの最初の USB デバイスに書き込みます。

    # dd if=FreeBSD-13.0-RELEASE-amd64-memstick.img of=/dev/da0 bs=1M conv=sync

    もし上記のコマンドに失敗するようでしたら、USB スティックがマウントされているかどうか、デバイス名が (パーティションではなく) ディスクに対して指定されていることを確認してください。

    オペレーティングシステムによっては、このコマンドを sudo(8) で実行することが求められる場合があります。 dd(1) の書式は、プラットフォームによって少し変わります。 たとえば Mac OS® では、小文字の bs=1m を使う必要があります。 Linux® のようなシステムでは、書き込みをバッファします。 すべての書き込みを完了させるには、sync(8) を使用してください。

Procedure. Windows® を使ってイメージを書き込む

適切なドライブレターを出力先に設定していることを十分に確認してください。 さもなければ、現在あるデータは上書きされ、 破壊されてしまうでしょう。

  1. Image Writer for Windows® を入手する

    Image Writer for Windows® は、 イメージファイルをメモリスティックに正しく書き込むことのできるフリーのアプリケーションです。 win32diskimager ホームページ からダウンロードして、フォルダに展開してください。

  2. イメージライタを使ってイメージを書き込む

    Win32DiskImager アイコンをダブルクリックして、プログラムを起動してください。 Device の下に表示されるデバイスレターが、 メモリスティックのドライブであることを確認してください。 フォルダのアイコンをクリックして、 メモリスティックに書き込むイメージファイルを選択します。 Save をクリックして、 イメージファイルの名前を確定してください。 すべてが正しく行われたかどうか、また、 他のウィンドウでメモリスティックのフォルダが開かれていないことを確認してください。 準備ができたら、Write をクリックして、 メモリスティックにイメージファイルを書き込んでください。

2.4. インストールの開始

デフォルトでは、次のメッセージが表示されるまで インストーラはディスクに何の変更も加えません。

Your changes will now be written to disk. If you
have chosen to overwrite existing data, it will
be PERMANENTLY ERASED. Are you sure you want to
commit your changes?

この警告の前であれば、いつでもインストールを中断できます。 もし、何かを間違って設定してしまったことが心配ならば、 最後の警告の前に単にコンピュータをオフにしてください。 システムのハードディスクを変更せずに済みます。

この章では、インストールメディアの準備 で説明されている手順によって準備されたインストールメディアから、システムを起動する方法について説明します。 起動可能な USB スティックを使用する場合には、コンピュータを立ち上げる前に、USB スティックを挿入してください。 CD もしくは DVD から起動する場合には、コンピュータを立ち上げ、すぐにメディアを挿入してください。 挿入したメディアからシステムを起動するように設定する方法は、アーキテクチャ毎に異なります。

2.4.1. FreeBSD ブートメニュー

インストールメディアからシステムが起動すると、 以下のようなメニューが表示されます。

FreeBSD ブートローダメニュー
図 1. FreeBSD ブートローダメニュー

デフォルトでは、メニューは、FreeBSD インストーラが起動するまで (FreeBSD がインストールされているシステムでは、FreeBSD が起動するまで)、 ユーザからの入力を 10 秒間受け付けます。 タイマーを停止してオプションを確認には、 Space を押してください。オプションを選択するには、 ハイライトされている番号、文字、もしくはキーを押してください。 以下のオプションが利用可能です。

  • Boot Multi User: FreeBSD の起動プロセスを続けます。 ブートタイマが停止しているのであれば 1、 大文字もしくは小文字の B または、 Enter を押してください。

  • Boot Single User: このモードは、すでにインストールされている FreeBSD を修復するために利用できます。 シングルユーザモードについては、 「シングルユーザモード」 で説明されています。 2 もしくは、小文字もしくは、大文字の S を押すとこのモードに入ることができます。

  • Escape to loader prompt: 制限された低レベルのコマンドのみが利用可能な修復用プロンプトでシステムを起動します。 このプロンプトについては、 「起動ステージ 3」 で説明されています。 3 または Esc を押すとこのプロンプトで起動します。

  • Reboot: システムを再起動します。

  • Cons: video, serial, Dual (serial primary) または Dual (Video primary) でインストールを続けます。

  • Kernel: 別のカーネルを読み込みます。

  • Boot Options: FreeBSD ブートオプションメニュー で示されるメニューを開きます。

サポートされているブートオプションのメニュー
図 2. FreeBSD ブートオプションメニュー

この起動オプションメニューは、 2 つのセクションから構成されています。 最初のセクションは、メインのブートメニューに戻ったり、 オプションをデフォルト値に戻すために利用できます。

次のセクションでは、変更可能なオプションついて、 選択されている番号や文字を、OnOff に変更できます。 システムは、これらのオプションが変更されない限り、 常に変更されたオプションで起動します。 このメニューで変更可能なオプションは以下の通りです。

  • ACPI Support: 起動中にシステムが固まるようでしたら、このオプションを Off にしてください。

  • Safe Mode: 上記のオプションの対応を行ってもシステムが起動時に固まるようでしたら、 ACPI SupportOff にし、このオプションを On に設定してください。

  • Single User: シングルユーザモードでインストールされている FreeBSD を修復には、 On にしてください。 シングルユーザモードについては、 「シングルユーザモード」 で説明されています。 問題が修正された後は、Off に戻してください。

  • Verbose: 起動プロセスの表示をより詳細に表示したい場合には、 このオプションを On にしてください。 ハードウェアの問題を解決する際には有効です。

設定が終わったら、 1 または Backspace を押してメインブートメニューに戻り、 Enter を押して FreeBSD の起動を続けてください。 FreeBSD がハードウェアの検出を行い、 インストールプログラムをロードしている間、 ブートメッセージが表示されます。 起動後、ウェルカムメニュー が表示されます。

FreeBSD インストーラのウェルカムメニュー
図 3. ウェルカムメニュー

Enter を押して、デフォルトの Install を選択すると、インストール作業が始まります。 この章の残りの部分では、このインストーラの使い方について説明します。 メニュー項目を選択するには、左右の矢印キーを使ったり、色付けされた文字を使ってください。 Shell を選択すると、インストールの前に、FreeBSD シェルからコマンドラインユーティリティでディスクを準備できます。 Live CD オプションを選択すると、 インストール前に FreeBSD を試すことができます。 live 版については、Live CD を使う で説明されています。

ハードウェアの検出などのブートメッセージを見るには 大文字または小文字の S を押してください。 その後、Enter を押して、 シェルにアクセスしてください。 シェルプロンプトから、more /var/run/dmesg.boot を入力してください。 メッセージのスクロールには、スペースバーを使ってってください。 終わったら、exit を押して、 ウェルカムメニューに戻ってください。

2.5. bsdinstall の使用

この章では、 bsdinstall メニューの順番と、 システムがインストールされる前に、 尋ねられる情報の形式について紹介します。 メニューオプションの選択には、矢印キーを使い、 メニューの項目の選択や解除する場合には、Space キーを使ってください。 設定が終わったら、Enter を押して設定を保存し、次の画面へ移動してください。

2.5.1. キー配列メニューの選択

このプロセスが始まると、 bsdinstall は キーマップの読み込み のようにキーマップファイルを読み込みます。

キーマップの読み込み
図 4. キーマップの読み込み

キーマップが読み込まれると、bsdinstall は キーマップ選択メニュー を表示します。 上下の矢印キーを使って、システムのキーボードに最も近いキーマップを選択してください。 選択を保存するには、Enter キーを押してください。

キーマップ選択メニュー。対応しているすべてのキーボードが表示されます。
図 5. キーマップ選択メニュー

Esc を押すと、メニューは終了し、 デフォルトのキーボードマップを使うようになります。 どのキーボードマップを選べばよいかわからない場合は、 United States of America ISO-8859-1 を選ぶとよいでしょう。

デフォルトとは異なるキーマップを選択した場合には、 キーマップテストメニュー でキーマップのテストを行い、 インストールを先に進む前に正しく動くかどうかを確認できます。

キーマップテストメニュー
図 6. キーマップテストメニュー

2.5.2. ホスト名の設定

次の bsdinstall のメニューでは、 新しくインストールするシステムに与えるホスト名を設定します。

ホスト名の設定
図 7. ホスト名の設定

ネットワーク上でユニークなホスト名を入力してください。 入力するホスト名は、machine3.example.com のように完全修飾のホスト名で入力してください。

2.5.3. インストールするコンポーネントの設定

次に、 bsdinstall は、インストールするオプションのコンポーネントの選択に移ります。

base-dbg
図 8. インストールするコンポーネントの設定

どのコンポーネントをインストールするかは、 システムの用途と用意されているディスク容量に依存します。 base system として知られている FreeBSD カーネルとユーザランドは、 常にインストールされます。 アーキテクチャによっては、表示されないコンポーネントもあります。

  • base-dbg - デバッグシンボルを有効にしたベースツール (cat, ls や他の多くのツール)。

  • kernel-dbg - デバッグシンボルを有効にしたカーネルおよびモジュール。

  • lib32-dbg - 32-bit のアプリケーションを 64-bit 版の FreeBSD で実行する際に必要となる互換ライブラリ (デバッグシンボルは有効)。

  • lib32 - 32-bit のアプリケーションを 64-bit 版の FreeBSD で実行する際に必要となる互換ライブラリ。

  • ports - FreeBSD Ports Collection は、 サードパーティ製ソフトウェアパッケージのダウンロード、 コンパイル、 インストールを自動化するように設計されたファイルの集まりです。 Ports Collection の使い方については、 アプリケーションのインストール - packages と ports で説明します。

    インストールプログラムは、システムのディスクに十分な空き容量があるかどうかを確認しないので、ハードディスクに十分な容量があるときだけ、このオプションを選択するしてください。 FreeBSD Ports Collection が必要とする容量は、約 3 GB です。

  • src - FreeBSD のカーネルおよびユーザランド両方の完全なソースコードです。 ほとんどのアプリケーションは必要としませんが、 デバイスドライバやカーネルモジュール、 Ports Collection のアプリケーションによってはコンパイル時に必要となります。 このソースは、FreeBSD そのものの開発に使うこともできます。 すべてのソースツリーをインストールするには 1 GB のディスク容量を必要とします。 また、FreeBSD システム全体のコンパイルには、 さらに 5 GB の容量が必要です。

  • tests - FreeBSD テストスイート。

2.5.4. ネットワークからのインストール

ネットワークからのインストール で示されているメニューは、-bootonly.iso または -mini-memstick.img からインストールする時のみ表示されます。 これらのインストールメディアはインストールファイルを含んでいません。 このメニューは、 ネットワーク経由でインストールファイルをダウンロードする必要があるため、ネットワークインタフェースを最初に設定する必要があることを示しています。 このメニューがインストールのプロセスで表示された場合には、 ネットワークインタフェースの設定 に書かれている手順に従ってください。

インストールするコンポーネントが見つからないため、ネットワークからダウンロードを試みることを示しています。
図 9. ネットワークからのインストール

2.6. ディスク領域の割り当て

次のメニューでは、ディスク領域を割り当てる方法を選択します。

パーティションのオプションを示しています。例: マニュアル、シェルなど
図 10. パーティション分割の選択

bsdinstall では、ディスク領域の割り当てのために 4 つの方法が用意されています。

  • Auto (ZFS) によるパーティションの分割では、root-on-ZFS システムを構築します。GELI 暗号に対応した ブート環境 を構築することもできます。

  • Auto (UFS) によるパーティションの分割では、 UFS ファイルシステムを使ってディスクパーティションを自動的に分割します。

  • Manual によるパーティションの分割は、 高度な知識を持つユーザ向けで、 メニューオプションからカスタマイズしたパーティションを作成できます。

  • Shell では、シェルプロンプトを起動し、 高度な知識を持つユーザが、 gpart(8), fdisk(8), bsdlabel(8) のようなコマンドラインのプログラムを実行して、 カスタマイズしたパーティションを作成できます。

この章では、 ディスクパーティションをレイアウトする際の検討事項を説明します。 その後、各パーティションの作成方法について説明します。

2.6.1. パーティションレイアウトのデザイン

デフォルトのファイルシステムのパーティションレイアウトは、システム全体をひとつのファイルシステムで構成します。 十分なディスク容量または複数のディスクを用いる環境において UFS を用いる場合は、複数のファイルシステムを検討する価値があります。 ファイルシステムのレイアウトを行う際には、 ハードディスクの外周部は内周部よりもデータ転送が速いということを思い出してください。 これに従えば、 小さくて激しくアクセスされるファイルシステムを外周付近に、/usr のようなより大きなパーティションはディスクの内側に配置すべきでしょう。 そのため、パーティションを作成する際には、/、 スワップ、/var, /usr のような順で作ってゆくのがよいでしょう。

/var パーティションのサイズは、あなたが計算機をどのように使おうとしているかを反映します。 このパーティションには主としてメールボックスやログファイル、 プリンタスプールが置かれます。 メールボックスとログファイルは、 システムのユーザ数やログの保持期間に依存して予期し得ぬサイズにまで成長する可能性があります。 概して、ほとんどのユーザは、/var にギガバイト以上の空き容量を必要とはしないでしょう。

時には、たくさんのディスク容量が /var/tmp に必要になるときがあります。 新しいソフトウェアをインストールする際、package のツールは、package の一時的なコピーを /var/tmp 以下に展開します。 /var/tmp 以下に十分なディスク容量が用意されていないと、Firefox や LibreOffice のような、大きなソフトウェア package のインストールが、困難になることがあります。

/usr パーティションには、FreeBSD Ports Collection およびシステムのソースコードを含む、システムをサポートするのに必要な多くのファイル群が置かれます。 このパーティションには、少なくとも 2 ギガバイトの容量を用意することをおすすめします。 また、デフォルトではユーザのホームディレクトリは /usr/home に置かれますが、他のパーティションに置くこともできます。 デフォルトでは、/home/usr/home へのシンボリックリンクです。

パーティションのサイズを考える時、 必要量を念頭に置いてください。 別のパーティションには潤沢にスペースが余っているのに、 あるパーティションでスペースが足らないままというのは、 フラストレーションがたまるものです。

経験からスワップパーティションのサイズは物理メモリ (RAM) の 2 倍というのが一般的です。 RAM の少ないシステムでは、もっとスワップを増した方が性能がよくなります (大きなメモリの設定では少なくて済みます)。 スワップが少なすぎる設定は、あなたが後にメモリを増設したときに問題を起すばかりではなく、VM ページスキャニングコードの能率を落します。

複数の SCSI ディスクや異なるコントローラで操作される複数の IDE ディスクを持つ大規模なシステムでは、それぞれのドライブ (4 台まで) にスワップを設定することを推奨します。 各ドライブのスワップパーティションはほぼ同一サイズであるべきです。 カーネルは任意のサイズを扱うことができますが、内部のデータ構造は最大のスワップパーティションの 4 倍に調節されます。 スワップパーティションをほぼ同一のサイズにしておくことで、カーネルはスワップスペースを最適なかたちでディスクをまたいでストライプさせることができます。 多くのスワップサイズを用意すると、全体のスワップに関するカーネルの警告メッセージがが表示されることがあります。 警告メッセージに示される手順に従って、スワップの割り当てのために許容されるメモリ量を増やすことで、この制限容量を増やすことができます。

あなたが通常スワップをたくさん使わないとしても、 プログラムが暴走しても再起動させられる前に回復することが容易になります。

システムを適切にパーティション化することで、小さいが書き込みの激しいパーティションによって引き起こされるフラグメント化を、読み出し専門のパーティションにまで波及させずにすみます。 また、書き込みの激しいパーティションをディスクの周辺部に配置することで、I/O パフォーマンスを増大させることができます。 大きなパーティション内の I/O パフォーマンスもまた必要とされているでしょうが、ディスク周辺部へ移動させたとしても、/var を周辺部に移動させることによって大きな効果が得られたのとは対照的に、意味のあるパフォーマンスの増加は見込めないでしょう。

2.6.2. UFS を用いた Guided によるパーティションの分割

この方法を選択すると、 メニューには利用可能なディスクが表示されます。 複数のディスクが接続されている場合には、 FreeBSD をインストールするディスクを選択してください。

FreeBSD をインストールすることのできるディスクの一覧が表示されます
図 11. 複数のディスクから選択する

ディスクを選択したら、次のメニューでは、 ディスクのすべてにインストールを行うか、 または空き容量にパーティションを作成してインストールを行うかを設定します。 Entire Disk を選択すると、 一般的なパーティションレイアウトが自動的に作成されます。 Partition を選択すると、 ディスクの使用していない領域にパーティションレイアウトを作成します。

使用するディスク上で利用可能な領域をすべて使うか、もしくはパーティションを作成するかを選択するメニュー
図 12. Entire Disk または Partition の選択

Entire Disk オプションを選択すると、bsdinstall はディスクの内容が消去されることを確認するダイアログを表示します。

ユーザに対しディスク上のすべてのデータが消去されることの確認メニュー
図 13. 確認

次のメニューでは、 利用可能なパーティションスキームタイプの一覧が表示されます。 amd64 コンピュータでは、通常 GPT が最も適切な選択となります。 GPT に対応していないような古いコンピュータでは、MBR を使う必要があります。 他のパーティションスキームは、使うことがまれであったり、古いコンピュータで用いられるものです。 パーティションスキーム に詳細があります。

ユーザに対して選択可能なさまざまなパーティションタイプを示し、そのうちのどれかを選択するためのメニュー
図 14. パーティションスキームの選択

パーティションのレイアウトを作成したら、インストールの条件を満たしているかどうかを深く確認してください。 Revert を選択すると、パーティションをオリジナルの値にリセットします。 また、Auto を選択すると、FreeBSD パーティションを自動的に作成します。 パーティションを手動で作成、変更、削除することもできます。 正しくパーティションを作成出来たら、 Finish を選択し、インストールを進めてください。

作成されたパーティションを表示するメニュー
図 15. 作成されたパーティションの確認

ディスクを一度設定すると、次のメニューは、選択したハードドライブをフォーマットする前に、設定を変更できる最後のチャンスです。 もし変更が必要であれば、 Back を選択してメインのパーティションエディタまで戻ってください。 Revert & Exit を選択すると、ハードドライブへの変更なしにインストールを終了します。 インストールプロセスを開始するには、 Commit を選択してしてください。

ユーザに対してインストールを開始すると、すべての変更がディスクに書き込まれ、ディスクに存在するデータは完全に削除されることを確認するメニュー
図 16. 最後の確認

配布ファイルのダウンロード に進んで、インストールプロセスを続けてください。

2.6.3. Manual によるパーティションの分割

この方法を選択すると、 パーティションエディタが起動します。

パーティションエディタを表示しているメニュー
図 17. Manual によるパーティションの分割

インストール先のドライブ (この例では ada0) を選び、 Create を選択すると、 利用可能なパーティションスキームの一覧が表示されます。

選択可能なパーティションスキームを表示しているメニュー
図 18. 手動でパーティションを作成する

amd64 コンピュータでは、通常 GPT が最も適切な選択となります。 GPT に対応していないような古いコンピュータでは、 MBR を使う必要があります。 他のパーティションスキームは、使うことがまれであったり、 古いコンピュータで用いられるものです。

表 1. パーティションスキーム
省略形説明

APM

PowerPC® で使われている Apple Partition Map

BSD

MBR を用いない BSD ラベル。 BSD 以外のディスクユーティリティは認識しないため、しばしば dangerously dedicated mode と呼ばれます。

GPT

GUID Partition Table

MBR

Master Boot Record

パーティションスキームを選択して作成した後で、 もう一度 Create を選択すると、 パーティションが作成されます。Tab キーを使ってカーソルをフィールド間で移動できます。

追加するパーティションのタイプ、サイズ、マウントポイントおよびラベル情報を入力するためのメニュー
図 19. 手動でパーティションを作成する

標準の FreeBSD GPT のインストールでは、UFS または ZFS を含む少なくとも 3 つのパーティションが使われます。

  • freebsd-boot または efi - FreeBSD ブートコードを含んでいます。

  • freebsd-ufs - FreeBSD UFS ファイルシステム。

  • freebsd-zfs - FreeBSD ZFS ファイルシステム。 詳細については、 The Z File System (ZFS) をご覧ください。

  • freebsd-swap - FreeBSD スワップ空間。

利用可能な GPT パーティションタイプについては、gpart(8) をご覧ください。

複数のファイルシステムのパーティションを作成できます。 人によっては /, /var, /tmp および /usr にパーティションを分割する伝統的なレイアウトが好まれます。

十分なメモリを搭載したシステムでは、メモリベースのファイルシステム (tmpfs(5)) を /tmp として後で追加できます。

Size には、 K (キロバイト)、 M (メガバイト)、 G (ギガバイト) といった通常の省略形を使用出来ます。

セクタを適切に配置することで、 最良のパフォーマンスを得ることができます。 また、パーティションサイズを 4K バイトの偶数倍にすると、 512 バイトまたは 4K バイトのセクタでドライブが配置しやすくなります。 一般的に、 4K の偶数倍の場所からパーティションが開始するように設定する簡単な方法は、 1M または 1G の偶数倍のパーティションサイズを用いることです。 ただし、例外があります。 freebsd-boot パーティションは、 ブートコードの制限により 512K 以下である必要があります。

ファイルシステムを持つパーティションでは、マウントポイント が必要となります。 1 つの UFS パーティションだけを作成したのであれば、マウントポイントは / となります。

Label は作成したパーティションを認識するための名前です。 ドライブ名や番号は、ドライブが別のコントローラやポートに接続されると変わることがありますが、パーティションラベルは変わりません。 /etc/fstab のようなファイルの中で、ドライブ名やパーティション番号ではなく、ラベルを参照することにより、システムがハードウェアの変更に対して、より寛容になります。 GPT ラベルは、ディスクが接続されると /dev/gpt/ に現れます。 他のパーティションスキームでは別のラベルとなり、/dev/ 以下の異なるディレクトリにラベルが現れます。

名前の衝突を避けるため、 各パーティションには、一意的な名前使ってください。 コンピュータ名、使用、位置情報を表す単語をラベルに追加できます。 たとえば、lab という名前のコンピュータの UFS の root パーティションには、 labroot または rootfs-lab といった名前を使ってください。

例 1. 伝統的なファイルシステムのパーティションの作成

伝統的なパーティションレイアウト (/, /var, /tmp および /usr ディレクトリが各パーティションの別のファイルシステム) を作成するには、GPT パーティションスキームを作成し、その後、示されているようにパーティションを作成してください。 示されているパーティションサイズは 20G のディスク用です。 ディスクにより多くの容量があれば、swap または /var パーティションを大きく取ると良いでしょう。 ここで示されているラベルには、example を意味する ex が付けられていますが、実際には上で説明したように、これとは別のユニークなラベルをつけてください。

FreeBSD の gptboot は、 デフォルトでは最初に見つかった UFS パーティションが、 / パーティションであることを前提としています。

パーティションタイプサイズマウントポイントラベル

freebsd-boot

512K

freebsd-ufs

2G

/

exrootfs

freebsd-swap

4G

exswap

freebsd-ufs

2G

/var

exvarfs

freebsd-ufs

1G

/tmp

extmpfs

freebsd-ufs

デフォルト (ディスクの残りのすべての容量)

/usr

exusrfs

カスタムパーティションを作成したら、 Finish を選択して 配布ファイルのダウンロード に進み、インストールを先に進めてください。

2.6.4. Root-on-ZFS を用いた Guided によるパーティションの作成

このパーティションの分割モードは、 ディスクのすべての領域に対して機能するので、 ディスク上にあるすべての内容が消去されます。 メインの ZFS 設定メニューには、 プールの作成をコントロールする数多くのオプションが用意されています。

ZFS プールを設定するためのオプションを表示しているメニュー
図 20. ZFS パーティションメニュー

このメニューのオプションは以下の通りです。

  • Install - 選択したオプションでインストールを進めます。

  • Pool Type/Disks - プールを構成する Pool Type およびディスクについて設定します。 現時点で ZFS の自動インストーラは、ストライプモードを除き、単一のトップレベルの仮想デバイスの作成のみに対応しています。 より複雑なプールを作成するには、 シェルモードによるパーティションの作成 で説明されている方法で作成してください。

  • Rescan Devices - 利用可能なディスクの一覧を再表示します。

  • Disk Info - このメニューを使って各ディスクを調べることができます。 パーティションテーブルやそれ以外のデバイスモデルナンバーおよびシリアルナンバーといった情報も、可能であれば調べることができます。

  • Pool Name - pool の名前を設定します。 デフォルトの名前は zroot です。

  • Force 4K Sectors? - 4K セクタを使用するようにします。 インストーラは、デフォルトで 4K の境界に整列するようにパーティションを自動的に作成し、 ZFS が 4K セクタを使用するようにします。 これは 512 バイトセクタのディスクでも安全で、 512 バイトのディスク上に作成されたプールが将来的に 4K セクタのディスクを追加できるようにしておくことには、 ストレージ容量の追加や壊れたディスクの交換時に恩恵があります。 有効にするか無効にするかを選択して Enter キーを押してください。

  • Encrypt Disks? - GELI を使ってディスクを暗号化できます。ディスクの暗号化の詳細については、 geli によるディスクの暗号化 をご覧ください。 Enter キーを押して、暗号化を有効にするか無効にするかを選択してください。

  • Partition Scheme - パーティションスキームを選択します。 ほとんどの場合において、GPT が推奨されます。 別のスキームを選択する場合には、 Enter キーを押してください。

  • Swap Size - スワップ容量を設定します。

  • Mirror Swap? - スワップ領域をディスク間でミラー化するかどうかを設定します。 スワップ領域をミラー化すると、クラッシュダンプを取得できないので注意してください。 Enter キーを押して有効/無効を設定してください。

  • Encrypt Swap? - スワップ領域の暗号化について設定します。 これはシステムの起動時に一時キーとともにスワップ領域を暗号化し、再起動時にキーは破棄されます。 Enter キーを押して有効/無効を設定してください。 詳細については、 swap 領域の暗号化 を参照してください。

T を選択して、Pool Type およびプールに対応するディスクを選択してください。

stripe
図 21. ZFS プールタイプ

このメニューで選択可能な Pool Type は以下の通りです。

  • stripe - ストライピングでは、 接続されているすべてのデバイスの最大容量を使用できます。 ただし、冗長性はありません。 一つのディスクが壊れるだけでプールにあるデータは失われてしまい、 取り返しがつきません。

  • mirror - ミラーリングは各ディスク上にあるすべてのデータの完全なコピーを保存します。 ミラーリングでは、並列にすべてのディスクからデータを読むため、 読み込みのパフォーマンスが向上します。 書き込みのパフォーマンスは、 データが並列にすべてのディスクに書き込まれるため、遅くなります。 1 つを除くすべてのディスクが壊れることを許容します。 このオプションを選択するには、 少なくとも 2 つのディスクを必要とします。

  • raid10 - ストライピングミラー。 最も効率は良いですが、ストレージ容量は少なくなります。 偶数のディスクが必要で、 少なくとも 4 つのディスクが必要です。

  • raidz1 - シングルパリティの RAID。 1 台のディスクの故障に耐えられます。 少なくとも 3 つのディスクが必要です。

  • raidz2 - ダブルパリティの RAID。 同時に 2 台のディスクの故障に耐えられます。 少なくとも 4 つのディスクが必要です。

  • raidz3 - トリプルパリティの RAID。 同時に 3 台のディスクの故障に耐えられます。 少なくとも 5 つのディスクが必要です。

Pool Type を選択したら、 利用可能なディスクの一覧が表示されます。 その後、プールを構成するディスクを、1 つまたは複数選択してください。 十分なディスクが選択されているかどうかについて検証が行われます。 検証に失敗するようであれば、<Change Selection> を選択して、ディスクの一覧に戻ってください。 もしくは、 <Back> を選択して Pool Type に戻ってください。

プールに追加するディスクを選択するメニュー
図 22. ディスクの選択
十分なディスクが選択されていないことを示しているメニュー
図 23. 無効な選択

この一覧の中に抜けているディスクがある時や、 インストーラが立ち上がった後にディスクを接続した場合に、 最新の利用可能なディスクの一覧を見るには、 - Rescan Devices を選択してください。

デバイスのリスキャン
図 24. デバイスのリスキャン

アクシデントで間違ったディスクを削除してしまわないように、 - Disk Info メニュー選択して、 各ディスクのパーティションテーブル、および、 デバイスモデル番号およびシリアル番号などのさまざまな情報を確認してください。

パーティションの情報を表示しているメニュー
図 25. ディスクの解析

N を選択して、 Pool Name を設定してください。 希望する名前を入力後、 <OK> を選択して確定するか、 <Cancel> を押して、 デフォルト名のままでメインメニューに戻ってください。

プールの名前を入力するメニュー
図 26. Pool Name

S を選択してスワップの容量を設定してください。 必要なスワップ容量を入力し、 <OK> を押して確定するか、 もしくは <Cancel> を押して、 デフォルトの容量のまま、メインメニューに戻ってください。

スワップメモリの容量を入力するメニュー
図 27. Swap 容量

すべてのオプションに希望する値を設定したら、メニューの上部にある >>> Install オプションを選択してください。 インストーラは、最終確認として ZFS プールを作成するために選択したドライブの内容が削除されることをキャンセルできる最後の機会を提供してくれます。

データが削除されることをユーザに確認するメニュー
図 28. 最終確認

GELI ディスク暗号化を有効にしていたら、ディスクを暗号化するために用いるパスフレーズを 2 度求められます。 その後、暗号の初期化が開始します。

デバイスを暗号化するためのパスワードを入力するメニュー
図 29. ディスク暗号化パスワード
暗号の初期化が行われていることを示すメニュー
図 30. 暗号の初期化

その後のインストールの過程は、通常通りに進みます。 インストールを進めるには、 配布ファイルのダウンロード に進んでください。

2.6.5. シェルモードによるパーティションの作成

高度なインストールを行う上で、bsdinstall が提供するパーティション分割のメニューは柔軟性にかけることがあります。 手動でドライブの分割、ファイルシステムの作成、/tmp/bsdinstall_etc/fstab の作成、そして /mnt 以下へのファイルシステムのマウントを行うには、パーティションメニューで Shell オプションを選択してください。 このオプションは高度な技術を持つユーザ向けです。 以上を実行したら、exit を実行して bsdinstall に戻り、インストールを続けてください。

2.7. 配布ファイルのダウンロード

インストールにかかる時間は、どのディストリビューションを選んだか、 どのインストールメディアを使ったか、 そしてコンピュータの速度にも依存します。 進行状況を表すメッセージが逐次表示されます。

まず最初に、インストーラは選択されているディスクをフォーマットし、 パーティションを初期化します。 bootonly media または mini memstick メディアを用いたインストールでは、 選択されたコンポーネントがダウンロードされます。

各コンポ―テントのダウンロード状況を表示しているメニュー
図 31. 配布ファイルのダウンロード

次に、ダウンロードの際にエラーが含まれなかったか、 インストールメディアからの読み取り中に読み間違いが起きなかったかどうか等、 配布ファイルの完全性の検証が行われます。

各コンポーネントの検証状況を表示しているメニュー
図 32. 配布ファイルの検証

最後に、検証された配布ファイルがディスクへ展開されます。

配布ファイルの展開状況を表示しているメニュー
図 33. 配布ファイルの展開

必要な配布ファイルがすべて展開されると、 bsdinstall は、 インストール後の設定画面を表示します。 利用可能なインストール後のオプションについては次の章で説明します。

2.8. ネットワークインターフェース、アカウント、タイムゾーン、 サービスおよびセキュリティオプションの設定

2.8.1. root パスワードの設定

最初に root のパスワードを設定する必要があります。 パスワードを入力している際には、入力している文字は画面に表示されません。 入力ミスを防ぐため、パスワードは 2 回入力する必要があります。

root ユーザのパスワードを入力するメニュー
図 34. root パスワードの設定

2.8.2. ネットワークインタフェースの設定

次に、コンピュータが認識したすべてのネットワークインタフェースが表示されます。 設定するネットワークインタフェースを選んでください。

設定を行うネットワークインタフェースを選択するメニュー
図 35. イーサネットインタフェースの選択

イーサネットインタフェースを選択すると、IPv4 ネットワークの選択 で表示されるメニューが表示されます。 ワイヤレスネットワークを選択すると、システムはワイヤレスアクセスポイントをスキャンします。

ワイヤレスネットワークのスキャンの進捗を表示しているメニュー
図 36. ワイヤレスアクセスポイントのスキャン

ワイヤレスネットワークは Service Set Identifier (SSID) によって識別されます。 SSID は、それぞれのネットワークに与えられる、短く、一意的な名前です。 スキャンで見つかった SSID は、そのネットワークで利用できる暗号化のタイプの説明とともに一覧で表示されます。 もし、期待した SSID が一覧に表示されていなければ、Rescan を選択してもう一度スキャンしてください。 それでもなお期待したネットワークが表示されなければ、接続のためのアンテナに問題がないかを確認したり、コンピュータをアクセスポイントの近くに移動してみてください。 その後もう一度スキャンしてください。

接続できるワイヤレスネットワークが表示されているメニュー
図 37. ワイヤレスネットワークの選択

次に、ワイヤレスネットワークに接続するための暗号情報を入力してください。 WEP のような古い暗号の安全性は低いので、WPA2 暗号が強く推奨されます。 WPA2 を使用してるネットワークでは、Pre-Shared Key (PSK) と呼ばれるパスワードを入力してください。 セキュリティ上の観点から、入力ボックスに入力した文字はアスタリスクで表示されます。

ワイヤレスネットワークのパスワードを入力するメニュー
図 38. WPA2 のセットアップ

次に、イーサネットもしくはワイヤレスインタフェースに対して、IPv4 を設定するかどうかを選択します。

選択したネットワークインターフェースに対して IPv4 の設定を行うかどうかを確認するメニュー
図 39. IPv4 ネットワークの選択

IPv4 の設定方法は 2 通りあります。 DHCP はネットワークインタフェースを自動的に適切に設定する方法で、DHCP サーバのあるネットワークでは使用すべきです。 DHCP を利用できない環境では、静的な設定として、ネットワークのアドレス情報を手動で入力する必要があります。

適当なネットワーク情報を入力しても動かないので、DHCP サーバが利用できなのであれば、ネットワーク管理者またはサービスプロバイダから 必要となるネットワーク情報 に示されている情報を入手してください。

DHCP サーバを利用できるのであれば、次のメニューで Yes を選択して、ネットワークインタフェースの設定を自動的に行ってください。 DHCP サーバを検索し、システムに対するアドレス情報を入手する間、インストーラは少しの間停止しているように表示されます。

選択したインターフェースに対して DHCP で設定を行うかを選択するメニュー
図 40. IPv4 DHCP 設定の選択

DHCP サーバを利用できない環境では、No を選択し、新しく表示されるメニューにおいて以下のようなアドレス情報を入力してください。

IPv4 ネットワークを設定するメニュー
図 41. 静的な IPv4 の設定
  • IP Address - コンピュータに与える IPv4 アドレスです。 このアドレスは一意的である必要があるため、ローカルネットワーク上の他のデバイスですでに使われているアドレスは使えません。

  • Subnet Mask - ネットワークのサブネットマスクです。

  • Default Router - このネットワークのデフォルトゲートウェイの IP アドレスです。

次の画面では、インタフェースを IPv6 で設定すべきかを選択します。 IPv6 が利用でき、希望するのであれば、 Yes を選択してください。

選択したネットワークインターフェースに対して IPv6 の設定を行うかどうかを確認するメニュー
図 42. IPv6 ネットワークの選択

IPv6 の設定に関しても 2 つの方法があります。 StateLess Address AutoConfiguration (SLAAC) は、ローカルルータから適切なネットワーク設定情報を入手するように、自動的にリクエストします。 詳細については rfc4862 を参照してください。 静的な設定では、ネットワーク情報を手動で入力する必要があります。

IPv6 ルータを利用できるのであれば、次のメニューで Yes を選択し、ネットワークインタフェースの設定を自動的に行ってください。 インストーラはルータを見つけ出し、システムに対するアドレス情報を入手するため、 少しの間停止しているように表示されます。

選択したネットワークインターフェースに対して SLAAC の設定を行うかどうかを確認するメニュー]
図 43. IPv6 SLAAC 設定の選択

IPv6 ルータが利用できない環境では、No を選択して、表示されるメニューで以下のアドレス情報を入力する必要があります。

IPv6 ネットワークを設定するメニュー
図 44. IPv6 の静的な設定
  • IPv6 Address - このコンピュータに割り当てられた IPv6 アドレスです。このアドレスは一意的である必要があるため、ローカルネットワーク上の他のデバイスですでに使われているアドレスは使えません。

  • Default Router - このネットワークのデフォルトゲートウェイの IPv6 アドレスです。

最後のネットワークメニューでは、ホスト名とネットワークアドレスを変換する Domain Name System (DNS) リゾルバを設定します。 すでに DHCP または SLAAC を使って自動的にネットワークインタフェースを設定したのであれば、Resolver Configuration には値がすでに入っているでしょう。 そうでなければ、Search フィールドにローカルネットワークのドメイン名を入力してください。 DNS #1 および DNS #2 は、ローカル DNS サーバの IPv4 または IPv6 アドレスです。 少なくとも、1 つの DNS サーバは必要です。

ネットワークの DNS を設定するメニュー
図 45. DNS の設定

ネットワーク接続の設定が終わったら、FreeBSD をインストールするコンピュータと同じ地域のミラーサイトを選んでください。 ターゲットコンピュータの近くのミラーサイトを選択できれば、ファイルのダウンロードは早く終わるので、インストールの時間は短くなります。

ftp://ftp.freebsd.org (Main Site)` を選択すると、最も近いミラーに自動的にルーティングします。

ミラーサイトを選択するメニュー
図 46. ミラーサイトの選択

2.8.3. タイムゾーンの設定

次のメニューでは、地域、国、タイムゾーンを指定します。 使用しているシステムのタイムゾーンを設定することで、 夏時間などの地域による時刻の違いが自動的に調整され、 タイムゾーンに関連した機能が適切に取り扱われます。

ここでの例は、 欧州スペインのメインランドタイムゾーンにあるコンピュータに対するものです。 実際の地理的位置に対応するタイムゾーンを設定してください。

地域を選択するメニュー
図 47. 地域の選択

矢印キーを使って、適切な地域を選択し、 Enter を押してください。

国名を選択するメニュー
図 48. 国名の選択

矢印キーを使って、適切に国名を選び、 Enter を押してください。

タイムゾーンを選択するメニュー
図 49. タイムゾーンの選択

矢印キーを使って適切なタイムゾーンを選択し、 Enter を押してください。

タイムゾーンを確定するメニュー
図 50. タイムゾーンの確定

タイムゾーンの省略形が正しいかどうかを確認してください。

システムの日付を設定するメニュー
図 51. 日付の設定

矢印キーを使って適切な日付を選択したら、 Set Date を押してください。 Skip を押すと日付の設定をスキップできます。

システムの時刻を設定するメニュー
図 52. 時刻の設定

矢印キーを使って適切な時刻に設定したら、 Set Time を押してください。 Skip を押すと時刻の設定をスキップできます。

2.8.4. サービスを有効にする

次のメニューでは、システムが起動した時に、 起動するシステムサービスを設定します。 これらのサービスはすべてオプションです。 システムの機能として必要なサービスだけを起動するようにしてください。

利用可能なサービスを表示しているメニュー
図 53. 追加で有効にするサービスの選択

このメニューで有効にできるサービスは以下の通りです。

  • local_unbound - DNS のローカル unbound を有効にします。この設定は、ローカルキャッシュフォワードリゾルバとしての利用のみを想定しています。ネットワーク全体のリゾルバを設定したいのであれば、 dns/unbound をインストールしてください。

  • sshd - セキュアシェル (SSH) デーモンは、 暗号化された接続上でリモートアクセスするために使われます。 システムがリモートログインを必要とする場合のみ、 このサービスを有効にしてください。

  • moused - システムのコンソールで、 マウスを利用する時に、このサービスを有効にしてください。

  • ntpdate - 起動時の自動時刻同期を有効にします。 この機能は、現在 ntpd(8) デーモンでも利用できます。 ntpdate(8) ユーティリティは近々その役目を終える予定です。

  • ntpd - 自動時刻同期のための The Network Time Protocol (NTP) デーモンを有効にします。リモートタイムサーバまたはプールとシステムの時刻を同期する場合は、このサービスを有効にしてください。

  • powerd - 電源の管理およびエネルギーを節約するための電源コントロールユーティリティ

  • dumpdev - システムのデバッグを行う上で、クラッシュダンプは有用なので、可能であれば有効にすると良いでしょう。

2.8.5. セキュリティを強化するオプションを有効にする

次のメニューでは、 有効にするセキュリティオプションを設定します。 すべてはオプションですが、有効にすることが推奨されます。

セキュリティを強化するオプションを表示しているメニュー
図 54. セキュリティを強化するオプションの設定

このメニューで有効にできるのは、以下のオプションです。

  • hide_uids - 他のユーザが実行しているプロセス (UID) を隠します。 特権のないユーザが、他のユーザにより実行されているプロセスを見れないようにします。

  • hide_gids - 他のグループが実行しているプロセスを隠します。 特権のないユーザが、他のグループ (GID) により実行されているプロセスを見れないようにします。

  • hide_jail - jail で実行中のプロセスを隠します。 特権のないユーザが、jail の中で実行されているプロセスを見れないようにします。

  • read_msgbuf - 権限のないユーザが、カーネルメッセージバッファを読めなくします。 権限のないユーザが、dmesg(8) を使ってカーネルログバッファのメッセージを見れないようにします。

  • proc_debug - 権限のないユーザ対するプロセスデバッキング機能を無効にします。 ptrace() および ktrace() といった procfs 機能を含む、権限のないプロセス間のデバッキングサービスを無効にします。 このオプションによって、PHP などのスクリプト言語に対する組み込みのデバッキング機能と同様に、lldb(1), truss(1) および procstat(1) などの権限のないユーザによるデバッキングツールも無効になります。

  • random_pid - プロセスの PID をランダム化します。

  • clear_tmp - システムの起動時に /tmp を空にします。

  • disable_syslogd - syslogd ネットワークソケットを閉じます。 デフォルトでは、FreeBSD は syslogd を -s を使った安全な方法で実行します。 これは、外からのポート 514 に対する UDP リクエストを待機しません。 このオプションを有効にすると、syslogd を -ss 付きで実行します。 これにより、syslogd は空いているどのポートからも受け付けません。 詳細は、syslogd(8) をご覧ください。

  • disable_sendmail - sendmail MTA を無効にします。

  • secure_console - シングルユーザモードに入る際に、コマンドプロンプトに対して root パスワードが必要となります。

  • disable_ddtrace - DTrace は、 実行中のカーネルに影響を及ぼすモードで実行できます。 破壊的なアクションは、明示的に有効にしない限りは利用できません。 このオプションを有効にするには、DTrace を実行する際に -w を使ってください。 詳細については dtrace(1) をご覧ください。

  • enable_aslr - アドレス空間配置のランダム化を有効にします。アドレス空間配置のランダム化の詳細については Wikipedia article をご覧ください。

2.8.6. ユーザの追加

次のメニューでは、少なくとも一人のユーザを追加してください。 システムには root ではなく、ユーザアカウントでログインすることが推奨されています。 root 権限でログインすると、実行に対して制限がなく、また、保護されません。 通常のユーザでログインすることにより、 安全でセキュリティ的に危険が少なくなります。

Yes を選択し、 新しいユーザを追加してください。

システムにユーザを作成するか選択するメニュー
図 55. 新しいユーザのアカウントの作成

プロンプトに従い、 ユーザアカウントの作成で必要となる情報を入力してください。 ユーザ情報の入力 で示されている例では、asample ユーザアカウントを作成します。

追加するユーザの情報を入力しているメニュー
図 56. ユーザ情報の入力

以下は、入力情報のまとめです。

  • Username - ログイン時のユーザ名を入力します。一般的な慣習では、 ファーストネームの最初の文字とラストネームを、 ユーザ名がシステムで一意的になる長さで組み合わせます。 ユーザ名は、大文字と小文字を区別し、 空白を含んではいけません。

  • Full name - ユーザのフルネーム。 空白を含むことは可能です。 また、この情報はユーザアカウントの説明の記述に使われます。

  • Uid - ユーザ ID 番号。 通常は、システムが自動的に割り当てるように、 空欄のままにします。

  • Login group - 新しいユーザのログイングループ。 空欄のままにすると、デフォルトに割り当てられます

  • Invite user into other groups? - ユーザを別のグループのメンバーとして追加するかどうか。 ユーザが管理者としてのアクセス必要であれば、 ここで wheel を入力してください。

  • Login class - 空欄にするとデフォルトの設定になります。

  • Shell - 一覧の中から、ユーザのシェルを入力してください。 シェルに関する詳細については シェル をご覧ください。

  • Home directory - ユーザのホームディレクトリ。 通常は、デフォルトの場所が適切です。

  • Home directory permissions - ユーザのホームディレクトリの権限。 通常は、デフォルトが適切です。

  • Use password-based authentication? - 通常は、ユーザがログイン時にパスワードの入力が要求されるように yes と入力してください。

  • Use an empty password? - 空のパスワードは安全ではないので、通常は no です。

  • Use a random password? - 通常は、次のプロンプトでユーザ自身のパスワードを入力できるように、 no です。

  • Enter password - ユーザのパスワードです。入力している文字は画面に表示されません。

  • Enter password again - 確認のため、パスワードをもう一度入力します。

  • Lock out the account after creation? - 通常は、ユーザがログインできるようにするため、 no です。

すべての詳細を入力したら、サマリが表示され、 正しいかどうかの確認を求められます。 入力した情報に間違いがあれば、 no を入力して修正してください。 すべてが正しく入力されていれば、 yes を入力して新しいユーザを作成してください。

追加するユーザの情報が正しかを確認しているメニュー
図 57. ユーザおよびグループの管理を終了する

さらにユーザを追加するのであれば、 Add another user? の質問に対し、 yes を入力してください。 no を入力すると、ユーザの追加が終わり、次に進みます。

ユーザの追加や、ユーザ管理の詳細については、 ユーザと基本的なアカウント管理 を参照してください。

2.8.7. 最後の設定

すべてをインストールし、設定が終わった後に、 最後に設定を修正する機会が与えられます。

インストールを終わる前に、ユーザを追加したり、タイムゾーンなどを設定するためのメニュー

インストールを完了する前に、このメニューを使って変更、または、追加の設定を行なってください。

最終の設定オプション

設定が完了したら、Exit を選んでください。

インストールが終わり、追加でシェルを開いて手動で変更を行うかどうかを確認しているメニュー
図 58. Manual Configuration

新しいシステムを再起動する前に、 bsdinstall は追加の設定が必要かどうかを尋ねてきます。 Yes を選択して新しいシステムのシェルに入るか、または No を選択して、インストールの最後のステップに進んでください。

インストールが終了し、システムを再起動するか、Live CD にアクセスするかを選択するメニュー
図 59. インストールの終了

追加の設定や、特別なセットアップが必要であれば、 Live CD を選んでインストールメディアを Live CD で起動してください。

インストールが終わったら、 Reboot を選んで、 コンピュータを再起動し、新しい FreeBSD システムで起動してください。 再起動する前には、忘れずに FreeBSD インストールメディアを外してください。 さもないと、もう一度インストールメディアから起動してしまいます。

FreeBSD の起動時には、多くのメッセージが画面に表示されます。 システムの起動後には、ログインプロンプトが表示されます。 login: プロンプトで、インストール時に追加したユーザ名を入力してください。 root でのログインは避けてください。 管理者の権限が必要となった時に、スーパユーザになる方法については、スーパーユーザアカウント を参照してください。

起動時に表示されていたメッセージは、 Scroll-Lock を押し、scroll-back buffer で見ることができます。 PgUp, PgDn そして矢印キーでメッセージをスクロールバックできます。 メッセージの確認が終わったら、Scroll-Lock をもう一度押すと、ディスプレイのロックを外し、 コンソールに戻ることができます。 何度かシステムを起動した後で、これらのメッセージを見るには、コマンドプロンプトから less /var/run/dmesg.boot と入力してください。 確認後に q を押すと、 コマンドラインに戻ります。

追加で有効にするサービスの選択 で sshd を有効に設定した場合には、最初の起動時にシステムが SSH ホストキーを生成するため、少々時間がかかるかもしれません。 その後の起動はより速くなるでしょう。 鍵のフィンガープリントは、以下の例のように表示されます。

Generating public/private rsa1 key pair.
Your identification has been saved in /etc/ssh/ssh_host_key.
Your public key has been saved in /etc/ssh/ssh_host_key.pub.
The key fingerprint is:
10:a0:f5:af:93:ae:a3:1a:b2:bb:3c:35:d9:5a:b3:f3 root@machine3.example.com
The key's randomart image is:
+--[RSA1 1024]----+
|    o..          |
|   o . .         |
|  .   o          |
|       o         |
|    o   S        |
|   + + o         |
|o . + *          |
|o+ ..+ .         |
|==o..o+E         |
+-----------------+
Generating public/private dsa key pair.
Your identification has been saved in /etc/ssh/ssh_host_dsa_key.
Your public key has been saved in /etc/ssh/ssh_host_dsa_key.pub.
The key fingerprint is:
7e:1c:ce:dc:8a:3a:18:13:5b:34:b5:cf:d9:d1:47:b2 root@machine3.example.com
The key's randomart image is:
+--[ DSA 1024]----+
|       ..     . .|
|      o  .   . + |
|     . ..   . E .|
|    . .  o o . . |
|     +  S = .    |
|    +  . = o     |
|     +  . * .    |
|    . .  o .     |
|      .o. .      |
+-----------------+
Starting sshd.

フィンガープリントおよび SSH についての詳細については、OpenSSH をご覧ください。

FreeBSD はデフォルトでは、グラフィカルな環境をインストールしません。 グラフィカルなウィンドウマネージャのインストール、 および設定に関するより多くの情報については、 X Window System をご覧ください。

適切に FreeBSD をシャットダウンすることは、 ハードウェアをダメージから守ったり、データの保護につながります。 システムを適切にシャットダウンする前に、 電源を落すということはしないでください!wheel グループのメンバとなっているユーザは、 コマンドラインから su と入力し、 root のパスワードを入力してスーパユーザとなってください。 その後、shutdown -p now と入力すると、システムは正しくシャットダウンし、 ハードウェアが対応していれば、電源が落ちます。

2.9. トラブルシューティング

この章では、インストールの際の、 これまで報告された共通の問題に対する解決のための情報が書いてあります。

FreeBSD リリース情報 ページにあるインストールする FreeBSD のバージョンのハードウェアノートを調べて、 使用しているハードウェアに対応しているかどうかを確認してください。

いくつかのインストール上の問題は、さまざまなハードウェア装置、 特にマザーボードのファームウェアのアップデートで回避または緩和することができます。 マザーボードのファームウェアは、通常 BIOS と呼ばれます。 多くのマザーボードまたはコンピュータ製造メーカーは、 アップデートやアップグレード情報を載せているウェブサイトを用意しています。

通常、製造メーカーは、 重要な更新のようなそれなりの理由がない限り、マザーボードの BIOS のアップグレードは行わないよう推奨しています。 アップデートの過程で失敗する可能性があり、 その場合 BIOS が不完全な状態になり、 コンピュータが動作しない原因となり得るからです。

システムの起動時に、ハードウェアの検出中にシステムが固まったり、インストールプロセスでおかしな振る舞いをする場合には、ACPI が原因の可能性があります。 i386 および amd64 プラットフォームにおいて、 FreeBSD はシステムの設定を手助けするシステム ACPI サービスを、 起動時に検出された場合に広く使います。 残念ながら、まだいくつかの不具合が、 ACPI ドライバとシステムのマザーボードおよび BIOS ファームウェア両方に存在しています。 起動ステージ 3 において、ヒント情報 hint.acpi.0.disabled を以下のように設定すると ACPI を無効にできます。

set hint.acpi.0.disabled="1"

この設定はシステムが起動するたびにリセットされるので、/boot/loader.conf ファイルに hint.acpi.0.disabled="1" を追加する必要があります。 ブートローダのより詳しい情報については FreeBSD の起動のプロセス で説明します。

2.10. Live CD を使う

ウェルカムメニュー で示されている bsdinstall のウェルカムメニューは、 Live CD オプションを提供します。 これは、 オペレーティングシステムに FreeBSD を使うべきかどうか迷っていて、 インストール前に機能を試して見たいと思っている方に有用です。

Live CD を使う際は、以下のことに気をつけてください。

  • システムにアクセスする際には、認証を求められます。 ユーザ名は root、 パスワードは空欄としてください。

  • システムはインストールメディアから直接起動するので、 ハードディスクにインストールされたシステムに比べ、 パフォーマンスはかなり遅い可能性があります。

  • このオプションのユーザインタフェースは、 コマンドプロンプトのみです。 グラフィカルなユーザインタフェースではありません。


最終更新日: 2023年2月23日 by Ryusuke SUZUKI