第16章 やっていいことといけないこと

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16.1. はじめに

このセクションではソフトウェアを port する上で、 良くある落し穴などについて説明します。 このリストを使ってあなた自身が作成した port のチェックはもとより、 さらに障害報告データベース にある他の人が提出した port のチェックもできます。 PR データベースにある、 他の人が作成した port のチェックもできます。 あなたがチェックした port についてのコメントをバグ報告と一般的な論評にしたがって送ってください。 PR データベースにある port をチェックすることは、 わたしたちがそれらを commit するのを早めるとともに、 何をしているかをあなたが理解していることも証明します。

16.2. バイナリの strip

バイナリは特に必要がなければ、手動で strip しないでください。 すべてのバイナリは strip すべきですが、 INSTALL_PROGRAM マクロがバイナリのインストールと strip を同時に行います (次節をご覧ください)。

ファイルを strip する必要はあるものの INSTALL_PROGRAM マクロを使いたくない場合は、 ${STRIP_CMD} でプログラムを strip できます。 これは、多くの場合 post-install ターゲット内で行われます。たとえば

post-install:
	${STRIP_CMD} ${PREFIX}/bin/xdl

インストールされた実行形式がすでに strip されているかどうかは file コマンドで確認できます。 "not stripped" と表示されなければ strip されていることを示しています。 さらに、strip(1) はすでに strip されたプログラムは strip せず、問題なく終了します。

16.3. INSTALL_* マクロ

あなた自身の *-install ターゲットでファイルの正しいモードとオーナを保証するために、 必ず bsd.port.mk で提供されているマクロを使用してください。

  • ${INSTALL_PROGRAM} は実行可能なバイナリをインストール (し、その過程で strip 処理)するコマンドです。

  • ${INSTALL_SCRIPT} は実行可能なスクリプトをインストールするコマンドです。

  • ${INSTALL_DATA} は共有可能なデータをインストールするコマンドです。

  • ${INSTALL_MAN} はマニュアルとその他の文書をインストールするコマンドです (圧縮はしません)。

これらは基本的に install コマンドに適切なフラグを与えたものです。 それらは distfile の Makefile で、頭に "BSD_" が付けられた (つまり BSD_INSTALL_PROGRM というような) 形で使うことができます。 どのようにこれらを使用するかは以下の例を見てください。

16.4. WRKDIR

WRKDIR の外に存在するファイルには何も書き込んではいけません。 port のビルド中に書き込み可能なことが保証されているのは WRKDIR の中だけです (書き込み不可のツリー上での port ビルドの例については、 CDROM からの ports のインストール を参照のこと)。 pkg-* ファイルを変更する必要があるときには、 ファイルを上書きするのではなく 変数の再定義により 行なうようにしてください。

16.5. WRKDIRPREFIX

WRKDIRPREFIX を尊重していることを確認してください。特に、別の port の WRKDIR を参照しているときには気を付けてください。 正しい場所は、 WRKDIRPREFIXPORTSDIR/subdir/name/work です。 PORTSDIR/subdir/name/work.CURDIR/../../subdir/name/work ではありません。

また、 自分で WRKDIR 定義するときには先頭に ${WRKDIRPREFIX}${.CURDIR} が付いていることを確認してください。

16.6. OS の種類やバージョンの識別

どのバージョンの Unix で動かすかによって、 変更や条件つきコンパイルが必要なコードに出くわすこともあるでしょう。 そのような変更を行なう場合には、 古い FreeBSD システムへのバックポートや、 CSRG の 4.4BSD, BSD/386, 386BSD, NetBSD, OpenBSD 等、 他の BSD システムへの移植が可能なように、 できるだけ汎用的な変更を行なうことを心がけてください。

4.3BSD/Reno (1990) と、それより新しいバージョンの BSD コードを区別するには、 <sys/param.h> で定義されている BSD マクロを利用するのがよいでしょう。 このファイルがすでにインクルードされていれば良いのですが、 そうでない場合には、その .c ファイルの 適当な場所に以下のコードを追加してください。

#if (defined(__unix__) || defined(unix)) && !defined(USG)
#include <sys/param.h>
#endif

これらの二つのシンボルが定義されているシステムには必ず sys/param.h があるはずです。 もしそうでないシステムを発見したら、 FreeBSD ports メーリングリスト までメールを送ってわたしたちに伝えてください。

あるいは、GNU Autoconf のスタイルを使用することもできます。

#ifdef HAVE_SYS_PARAM_H
#include <sys/param.h>
#endif

この方法を使用するときには、 Makefile 中の CFLAGS-DHAVE_SYS_PARAM_H を加えることを忘れないようにしてください。

いったん sys/param.h がインクルードされると、

#if (defined(BSD) && (BSD >= 199103))

このようにしてそのコードが 4.3 Net2 コードベース、 またはそれより新しいもの (例: FreeBSD 1.x, 4.3/Reno, NetBSD 0.9, 386BSD, BSD/386 1.1 とそれ以前) の上でコンパイルされているかを検出できます。

#if (defined(BSD) && (BSD >= 199306))

これは、4.4コードベース、またはそれより新しいもの (例: FreeBSD 2.x, 4.4, NetBSD 1.0, BSD/386 2.0 とそれ以後) の上でコンパイルされているかどうかを検出するために使用します。

4.4BSD-Lite2 コードベースでは BSD マクロの値は 199506 になっています。 これは参考程度の意味合いしかありません。 4.4-Lite ベースの FreeBSD と 4.4-Lite2 での変更がマージされたバージョンとを区別するのに使用するべきものではありません。 この目的のためにはかわりに {freebsd} マクロを使用してください。

以下は控え目に使ってください。

  • {freebsd} はFreeBSDのすべての版で定義されています。 変更が FreeBSD だけに適用されるとき以外は使用しないでください。 port でよくある strerror() ではなく sys_errlist[] を使うなどは FreeBSDでの変更ではなく BSD の流儀です。

  • FreeBSD 2.xでは {freebsd} が 2 と定義されています。 それ以前の版では 1 になっています。 その後の版でもメジャー番号に合うように上げています。

  • もし FreeBSD 1.x システムと FreeBSD 2.x 以降のシステムを区別する必要があれば、 上で述べた BSD マクロを使用するのが大抵の場合において正しい答です。 もし FreeBSD 特有の変更であれば (ld を使うときの共有ライブラリ用のオプションなど)、 {freebsd}を使い #if {freebsd} > 1 のようにFreeBSD 2.x および、 それ以降のシステムを検出するのはかまいません。 もし 2.0-RELEASE 以降の FreeBSD システムを細かく検出したければ、 以下を使用することができます。

    #if __FreeBSD__ >= 2
    #include <osreldate.h>
    #    if __FreeBSD_version >= 199504
             /* 2.0.5+ release specific code here */
    #    endif
    #endif

これまで、何百もの port が作られてきましたが、 {freebsd} が正しく使われたのは一つか二つの場合だけでしょう。 以前の port が間違ってふさわしくない場所で そのマクロを使っているからといって、 それをまねする理由はありません。

16.7. __FreeBSD_version の値

以下は、sys/param.h で定義されている __FreeBSD_version の便利な一覧です。

表 1. __FreeBSD_version values
Release__FreeBSD_version

2.0-RELEASE

119411

2.1-CURRENT

199501, 199503

2.0.5-RELEASE

199504

2.1 以前の 2.2-CURRENT

199508

2.1.0-RELEASE

199511

2.1.5 以前の 2.2-CURRENT

199512

2.1.5-RELEASE

199607

2.1.6 以前の 2.2-CURRENT

199608

2.1.6-RELEASE

199612

2.1.7-RELEASE

199612

2.2-RELEASE

220000

2.2.1-RELEASE

220000 (変更なし)

2.2.1-RELEASE 以降の 2.2-STABLE

220000 (変更なし)

texinfo-3.9 以降の 2.2-STABLE

221001

top 導入以降の 2.2-STABLE

221002

2.2.2-RELEASE

222000

2.2.2-RELEASE 以降の 2.2-STABLE

222001

2.2.5-RELEASE

225000

2.2.5-RELEASE 以降の 2.2-STABLE

225001

ldconfig -R マージ以降の 2.2-STABLE

225002

2.2.6-RELEASE

226000

2.2.7-RELEASE

227000

2.2.7-RELEASE 以降の 2.2-STABLE

227001

semctl(2) 変更以降の 2.2-STABLE

227002

2.2.8-RELEASE

228000

2.2.8-RELEASE 以降の 2.2-STABLE

228001

mount(2) 変更以前の 3.0-CURRENT

300000

mount(2) 変更以降の 3.0-CURRENT

300001

semctl(2) 変更以降の 3.0-CURRENT

300002

ioctl 引数変更以降の 3.0-CURRENT

300003

ELF 化以降の 3.0-CURRENT

300004

3.0-RELEASE

300005

3.0-RELEASE 以降の 3.0-CURRENT

300006

3/4 の分岐以降の 3.0-STABLE

300007

3.1-RELEASE

310000

3.1-RELEASE 以降の 3.1-STABLE

310001

C++ コンストラクタ/デストラクタ順序変更の後の 3.1-STABLE

310002

3.2-RELEASE

320000

3.2-STABLE

320001

バイナリ互換性のない IPFW とソケットの変更後の 3.2-STABLE

320002

3.3-RELEASE

330000

3.3-STABLE

330001

libc に mkstemp(3) が追加された後の 3.3-STABLE

330002

3.4-RELEASE

340000

3.4-STABLE

340001

3.5-RELEASE

350000

3.5-STABLE

350001

3.4 が分岐した後の 4.0-CURRENT

400000

dynamic linker の変更後の 4.0-CURRENT

400001

C++ コンストラクタ/デストラクタ順序変更の後の 4.0-CURRENT

400002

dladdr(3) 機能追加後の 4.0-CURRENT

400003

__deregister_frame_info dynamic linker のバグ修正、 EGCS 1.1.2 導入後の 4.0-CURRENT

400004

suser(9) の API 変更、newbus 化 以降の 4.0-CURRENT

400005

cdevsw 登録方法の変更後の 4.0-CURRENT

400006

ソケットレベルの証明書 (credential) のために so_cred が追加された後の 4.0-CURRENT

400007

libc_r への poll syscall ラッパー追加後の 4.0-CURRENT

400008

kernel の dev_t 型から struct spacinfo ポインタへの 変更後の 4.0-CURRENT

400009

jail(2) のセキュリティホール 修正後の 4.0-CURRENT

400010

sigset_t の データ型変更後の 4.0-CURRENT

400011

システムコンパイラを gcc 2.95.2 にアップグレードした 後の 4.0-CURRENT

400012

動的組み込み可能な Linux モードの ioctl ハンドラが 追加された後の 4.0-CURRENT

400013

OpenSSL 導入後の 4.0-CURRENT

400014

GCC 2.95.2 の C++ ABI 変更で、 デフォルトを -fvtable-thunks から -fno-vtable-thunks に 変更した後の 4.0-CURRENT

400015

OpenSSH 導入後の 4.0-CURRENT

400016

4.0-RELEASE

400017

4.0-RELEASE 以降の 4.0-STABLE

400018

チェックサム計算タイミングの変更後の 4.0-STABLE

400019

libxpg4 が libc にマージされた後の 4.0-STABLE

400020

Binutils を 2.10.0 にアップグレードし、 ELF バイナリのマーク付け (branding) 方法を変更し、 tcsh をベースシステムに導入した後の 4.0-STABLE

400021

4.1-RELEASE

410000

4.1-RELEASE 以降の 4.1-STABLE

410001

setproctitle(3) が libutil から libc に 移動した後の 4.1-STABLE

410002

4.1.1-RELEASE

411000

4.1.1-RELEASE 以降の 4.1.1-STABLE

411001

4.2-RELEASE

420000

libgcc.a と libgcc_r.a の結合および、関連する GCC linkage 変更が行なわれた後の 4.2-STABLE

420001

4.3-RELEASE

430000

wint_t 導入後の 4.3-STABLE

430001

PCI パワーステート API マージ後の 4.3-STABLE

430002

4.4-RELEASE

440000

d_thread_t 導入後の 4.4-STABLE

440001

マウント構造変更 (ファイルシステム kld に影響あり) 後の 4.4-STABLE

440002

smbfs のユーザランド部が取り込まれた後の 4.4-STABLE

440003

4.5-RELEASE

450000

usb の構成要素の名称が変更された後の 4.5-STABLE

450001

rc.conf(5)sendmail_enable 変数が NONE という値をとれるようになった後の 4.5-STABLE

450004

package 作成のデフォルトを XFree86 4 に移行した後の 4.5-STABLE

450005

accept filter が修正され、 簡単なサービス妨害攻撃には影響を受けなくなった後の 4.5-STABLE

450006

4.6-RELEASE

460000

sendfile(2) をドキュメントに適合するよう修正して、 送信されたいかなるヘッダも、 ファイルから送信されたデータの総量に合計しないようにした 4.6-STABLE

460001

4.6.2-RELEASE

460002

4.6-STABLE

460100

sed -i を MFC した後の 4.6-STABLE

460101

多くの新たな pkg_install の機能を HEAD から MFC した後の 4.6-STABLE

460102

4.7-RELEASE

470000

4.7-STABLE

470100

sF の代わりに std{in,out,err}p 参照生成を開始。 これは、std{in,out,err} をコンパイル時の定数から、 ランタイムに変更します。

470101

m_aux mbuf を m_tag で置き換える mbuf の変更を MFC した後の 4.7-STABLE

470102

OpenSSL 0.9.7 導入後の 4.7-STABLE

470103

4.8-RELEASE

480000

4.8-STABLE

480100

realpath(3) がスレッドセーフになった後の 4.8-STABLE

480101

4.8-STABLE における twe の 3ware API の変更

480102

4.9-RELEASE

490000

4.9-STABLE

490100

構造体 kinfo_eproc に e_sid が追加された後の 4.9-STABLE

490101

rtld に libmap 機能を MFC した後の 4.9-STABLE

490102

4.10-RELEASE

491000

5.0-CURRENT

500000

ELF ヘッダフィールドの追加と ELF バイナリのマーク付け (branding) 方法の変更後の 5.0-CURRENT

500001

kld メタデータ変更後の 5.0-CURRENT

500002

buf/bio 変更後の 5.0-CURRENT

500003

binutils アップグレード後の 5.0-CURRENT

500004

libxpg4 コードの libc へのマージと、 TASKQ インターフェイスの導入後の 5.0-CURRENT

500005

AGP インターフェイス追加後の 5.0-CURRENT

500006

Perl を 5.6.0 にアップグレードした後の 5.0-CURRENT

500007

KAME コードを 2000/07 版のソースに更新した後の 5.0-CURRENT

500008

ether_ifattach() および ether_ifdetach() 変更後の 5.0-CURRENT

500009

mtree のデフォルトをオリジナルの変種に戻し、 シンボリックリンクをたどる -L オプションを追加した後の 5.0-CURRENT

500010

kqueue API 変更後の 5.0-CURRENT

500011

setproctitle(3) が libutil から libc へ移動した後の 5.0-CURRENT

500012

最初の SMPng がコミットされた後の 5.0-CURRENT

500013

<sys/select.h> が <sys/selinfo.h> に 移動した後の 5.0-CURRENT

500014

libgcc.a と libgcc_r.a の結合および関連する GCC linkage 変更が行なわれた後の 5.0-CURRENT

500015

libc と libc_r の混合リンクを許し、 -pthread オプションを deprecate する 変更後の 5.0-CURRENT

500016

mountd 等が使用する kernel-exported API の 安定化のため、ucred 構造体から xucred 構造体へ 移行した後の 5.0-CURRENT

500017

CPU 依存の最適化を制御するための make 変数 CPUTYPE が追加された後の 5.0-CURRENT

500018

<machine/ioctl_fd.h> が <sys/fdcio.h> に移動した後の 5.0-CURRENT

500019

ロケール名変更の後の 5.0-CURRENT

500020

Bzip2 導入後の 5.0-CURRENT。 また、S/Key が削除されていることも示す。

500021

SSE サポート後の 5.0-CURRENT

500022

KSE マイルストーン 2 以降の 5.0-CURRENT

500023

d_thread_t 導入、および UUCP を ports に移動した後の 5.0-CURRENT

500024

64 ビットプラットホーム上のデスクリプタおよび cred 受け渡し ABI 変更後の 5.0-CURRENT

500025

package 作成のデフォルトを XFree86 4 に移行し、libc に新たに strnstr() 関数を追加した後の 5.0-CURRENT

500026

libc に新たに strcasestr() 関数を追加した後の 5.0-CURRENT

500027

smbfs のユーザランド部が取り込まれた後の 5.0-CURRENT

500028

C99 の新しい特定サイズの整数型追加後の 5.0-CURRENT

500028 (変更なし)

sendfile(2) の戻り値が変更された後の 5.0-CURRENT

500029

ファイルフラグにふさわしいサイズの fflags_t が導入された後の 5.0-CURRENT

500030

usb の構成要素の名称が変更された後の 5.0-CURRENT

500031

Perl 5.6.1 導入後の 5.0-CURRENT

500032

rc.conf(5)sendmail_enable 変数が NONE という値をとれるようになった後の 5.0-CURRENT

500033

mtx_init() に 3 番目の引数が加わった後の 5.0-CURRENT

500034

GCC 3.1 が取り込まれた 5.0-CURRENT

500035

/usr/src に Perl がなくなった 5.0-CURRENT

500036

dlfunc(3) 追加後の 5.0-CURRENT

500037

構造体 sockbuf のメンバの型が一部変更され、順序が変更された後の 5.0-CURRENT

500038

ヘッダで BSD_FOO_T の使用をやめ、 _FOO_T_DECLARED を使うようになった後の 5.0-CURRENT。 また、この変数は bzip2(1) パッケージに対応したことが確実な目安としても使えます。

500039

ディスクラベルの内部構造の依存性を除く名目で行われた、 ディスク関連の機能へのさまざまな変更を加えた後の 5.0-CURRENT

500040

libc に getopt_long(3) を加えた後の 5.0-CURRENT

500041

Binutils 2.13 にアップグレードした後の 5.0-CURRENT。このアップグレードには、新たな FreeBSD の emulation, vec および出力形式が含まれている。

500042

libc に pthread_XXX への弱いスタブを追加し、 libXThrStub.so が obsolete になった後の 5.0-CURRENT。 5.0-RELEASE

500043

RELENG_5_0 が分岐した後の 5.0-CURRENT

500100

<sys/dkstat.h> は空なので include すべきではない

500101

d_mmap_t インターフェイス変更後の 5.0-CURRENT

500102

taskqueue_swi が Giant ロック無しで実行され、 Giant ロックされて実行される taskqueue_swi_giant が追加された後の 5.0-CURRENT

500103

cdevsw_add() と cdevsw_remove() はもう存在しません。 MAJOR_AUTO 割り当て機能が登場しました

500104

cdevsw の新たな初期化方法が導入された後の 5.0-CURRENT

500105

devstat_add_entry() が devstat_new_entry() に置き換えられました

500106

Devstat のインターフェイス変更。 sys/sys/param.h 1.149 を参照のこと

500107

トークンリングインターフェイスの変更

500108

vm_paddr_t の追加

500109

realpath(3) がスレッドセーフになった後の 5.0-CURRENT

500110

usbhid(3) が NetBSD と同期した後の 5.0-CURRENT

500111

新たな NSS 実装と POSIX.1 準拠の getpw*_r, getgr*_r 関数が導入後の 5.0-CURRENT

500112

古い rc システムを削除した後の 5.0-CURRENT

500113

5.1-RELEASE

501000

RELENG_5_1 が分岐した後の 5.1-CURRENT

501100

sigtimedwait(2) と sigwaitinfo(2) の動作を修正した後の 5.1-CURRENT

501101

bus_dma_tag_create(9) に lockfunc と lockfuncarg フィールドを追加した後の 5.1-CURRENT

501102

GCC 3.3.1-pre 20030711 snapshot 導入後の 5.1-CURRENT

501103

5.1-CURRENT における twe の 3ware API の変更

501104

/bin と /sbin がダイナミックリンクされ、 ライブラリを /lib に移動した 5.1-CURRENT

501105

Coda 6.x のカーネルサポートを追加した後の 5.1-CURRENT

501106

16550 UART 定数を <dev/sio/sioreg.h> から <dev/ic/ns16550.h> に移動した後の 5.1-CURRENT。 また、rtld が 無条件で libmap 機能をサポートした時点。

501107

PFIL_HOOKS API を更新した後の 5.1-CURRENT

501108

kiconv(3) を追加した後の 5.1-CURRENT

501109

cdevsw の open および close のデフォルトの操作を変更した後の 5.1-CURRENT

501110

cdevsw のレイアウトを変更した後の 5.1-CURRENT

501111

kobj の多重継承を追加した後の 5.1-CURRENT

501112

構造体 ifnet の if_xname が変更された後の 5.1-CURRENT

501113

/bin と /sbin をダイナミックリンクに変更した後の 5.1-CURRENT

501114

5.2-RELEASE

502000

5.2.1-RELEASE

502010

RELENG_5_2 が分岐した後の 5.2-CURRENT

502100

cxa_atexit/cxa_finalize 関数が libc に追加された後の 5.2-CURRENT

502101

デフォルトの pthread ライブラリを libc_r から libpthread に変更した後の 5.2-CURRENT

502102

デバイスドライバ API の大規模パッチをあてた後の 5.2-CURRENT

502103

getopt_long_only() が追加された後の 5.2-CURRENT

502104

C に対して NULL が ((void *)0) になり、warning をより多く出すようになった 5.2-CURRENT

502105

pf がビルドおよびインストールされるようになった後の 5.2-CURRENT

502106

sparc64 で time_t を 64 ビットの値に変更した後の 5.2-CURRENT

502107

一部のヘッダで Intel C/C++ に対応し、 execve(2) をより厳密に POSIX に適合させた後の 5.2-CURRENT

502108

bus_alloc_resource_any API 導入後の 5.2-CURRENT

502109

UTF-8 ロケール追加後の 5.2-CURRENT

502110

getvfsent(3) API を削除した後の 5.2-CURRENT

502111

make に .warning 命令を追加した後の 5.2-CURRENT

502112

(2.2-STABLE は 2.2.5-RELESE 以後、 "2.2.5-STABLE" と呼ばれることがあります。) 見てのとおりこれは年・月というフォーマットになっていましたが、 バージョン 2.2 からより直接的にメジャー/マイナー番号を使うように変更になりました。 並行していくつかのブランチ (枝分かれしたバージョン) を開発する場合には、 リリースされた日付でそれらのリリースを分類することが不可能だからです (あなたが今 port を作成するときに、古い -CURRENT 達について心配する必要はありません。 これは参考のために挙げられているに過ぎないからです)。

16.8. bsd.port.mk の後に書くこと

.include <bsd.port.mk> の行の後には何も書かないようにしてください。 大抵の場合は Makefile の中程のどこかで bsd.port.pre.mk をインクルードして、 最後に bsd.port.pre.mk をインクルードすることによって避けることができます。

bsd.port.pre.mk/bsd.port.post.mk のペアか bsd.port.mk だけのどちらかだけをインクルードし、二つを混ぜないでください。

前者はいくつかの変数の定義だけをして Makefile でのテストに使用し、後者は残りを定義します。

以下は bsd.port.pre.mk で定義される重要な変数です (これは、すべてではありません。 完全なリストは bsd.port.mk を参照してください)。

変数名解説

ARCH

uname -m で返されるアーキテクチャ。(例、i386)。

OPSYS

uname -s で返されるオペレーティングシステム (例、FreeBSD)。

OSREL

オペレーティングシステムのリリースバージョン (例、2.1.5, 2.2.7)。

OSVERSION

数字形式のオペレーティングシステムのバージョン、 上記の __FreeBSD_version と同じです。

PORTOBJFORMAT

システムのオブジェクトフォーマット (elf あるいは aout ただし、"最近の" FreeBSD のバージョンでは aout は廃止予定になっています)。

LOCALBASE

"local" ツリーのベース。 (例、/usr/local/)。

X11BASE

"X11" ツリーのベース。 (例、/usr/X11R6/)。

PREFIX

ports のインストール先 (PREFIXについてを参照)。

USE_IMAKE, USE_X_PREFIX あるいは MASTERDIR などの変数を定義する必要がある場合には、 bsd.port.pre.mk をインクルード前に定義してください。 他のものは bsd.port.pre.mk の前でも後でもかまいません。

以下は bsd.port.pre.mk の後に書けるものの例です。

# no need to compile lang/perl5 if perl5 is already in system
.if ${OSVERSION} > 300003
BROKEN= perl is in system
.endif

# only one shlib version number for ELF
.if ${PORTOBJFORMAT} == "elf"
TCL_LIB_FILE=  ${TCL_LIB}.${SHLIB_MAJOR}
.else
TCL_LIB_FILE=  ${TCL_LIB}.${SHLIB_MAJOR}.${SHLIB_MINOR}
.endif

# software already makes link for ELF, but not for a.out
post-install:
.if ${PORTOBJFORMAT} == "aout"
       ${LN} -sf liblinpack.so.1.0 ${PREFIX}/lib/liblinpack.so
.endif

BROKEN=TCL_LIB_FILE= の後にスペースではなくタブを使うことを覚えていましたか? :-)

16.9. 付加的な文書のインストール

普通のマニュアルや info ファイルの他にユーザにとって有用だと思えるような文書がある場合には、 PREFIX/shared/doc の下にインストールしてください。 これは前記と同様 post-install ターゲットの中から行なうと良いでしょう。

まず、あなたの port のために新しいディレクトリを作ります。 どの port の文書か簡単にわかるような名前にする必要がありますので、 普通は PORTNAME を使うと良いでしょう。 もちろん、ユーザが異なるバージョンのものを同時に使うことが予想される port の場合には PKGNAME をそのまま使っても構いません。

ユーザが /etc/make.conf でこの部分を禁止するために NOPORTDOCS という変数をセットしている場合には、 これらの文書がインストールされないようにしてください。 こんな具合です。

post-install:
.if !defined(NOPORTDOCS)
        ${MKDIR} ${DOCSDIR}
        ${INSTALL_MAN} ${WRKSRC}/docs/xvdocs.ps ${DOCSDIR}
.endif

ここでは、変数をいくつかと、それを Makefile で利用した時にどう展開されるかを説明します。

  • ${DATADIR}${PREFIX}/shared/${PORTNAME} に展開されます。

  • ${DOCSDIR}${PREFIX}/shared/doc/${PORTNAME} に展開されます。

  • ${EXAMPLESDIR}${PREFIX}/shared/examples/${PORTNAME} に展開されます。

文書ファイルおよびディレクトリはすべて pkg-plist の中に %%PORTDOCS%% を頭につけて書く必要があります。 たとえば、次のようにしてください。

%%PORTDOCS%%%%DOCSDIR%%/AUTHORS
%%PORTDOCS%%%%DOCSDIR%%/CONTACT
%%PORTDOCS%%@dirrm %%DOCSDIR%%

インストール時に pkg-message ファイルを利用してメッセージを表示することができます。詳細は pkg-message を使う のセクションを参照してください。

pkg-message ファイルを pkg-plist に加える必要はありません。

16.10. ディレクトリ構成

インストール時には PREFIX の正しいサブディレクトリにファイルを置くように心がけてください。 ソフトウェアによっては新しいディレクトリを一つ作って、 ファイルを全部それに入れてしまうものがありますが、 それは良くありません。 また、バイナリ、ヘッダファイルとマニュアル以外のすべてを lib というディレクトリに入れてしまう port もありますが、これも BSD 的なファイルシステム構成とはうまく合いません。 これは以下のように分散すべきです。 etc にセットアップ/コンフィグレーションファイル、 libexec に内部で使用されるプログラム (コマンドラインから呼ばれることのないコマンド)、 sbin に管理者用のコマンド、 info に GNU Info 用の文書、 そして share にアーキテクチャに依存しないファイルが入ります。 詳細については hier(7) を参照してください。 /usr の構成方針はほとんどそのまま /usr/local にもあてはまります。 USENET "ニュース"を扱う ports は例外です。 これらはファイルのインストール先として PREFIX/news を使用します。

16.11. 空のディレクトリの削除

ports は削除の際に、 自分自身を消去したあとに (ディレクトリの) 削除をするようにしてください。 これは大抵の場合 @dirrm の行を ports が作成するすべてのディレクトリについて加えることによって実現できます。 親ディレクトリは子ディレクトリを先に消さないと消せないことに注意してください。

 :
lib/X11/oneko/pixmaps/cat.xpm
lib/X11/oneko/sounds/cat.au
 :
@dirrm lib/X11/oneko/pixmaps
@dirrm lib/X11/oneko/sounds
@dirrm lib/X11/oneko

といった感じです。

しかし時として、 他の port とディレクトリを共有しているために @dirrm がエラーを返すことがあります。 rmdir@unexec から呼びだすことによって、 警告(warning)なしで空のディレクトリのみを削除することができます。

@unexec rmdir %D/shared/doc/gimp 2>/dev/null || true

これを使えば、たとえ他の port がファイルをインストールしていて PREFIX/shared/doc/gimp が空でない場合でもエラーメッセージは表示されませんし、 pkg_delete(1) が異常終了することもありません。

16.12. UID

あなたの port が、 インストールされるシステム上に特定のユーザを必要とする場合は pkg-install スクリプトから pw コマンドを実行して自動的にそのユーザを追加するようにしてください。 net/cvsup-mirror の port が参考になるでしょう。

あなたの port がバイナリの package としてインストールされる場合とコンパイルされる場合の両方で、 同じユーザー/グループ ID を使わなければならないのなら、50 から 999 の間で空いている UID を選んで登録してください。 japanese/Wnn6 の port が参考になるでしょう。

既にシステムや他の port で利用されている UID を使わないように十分注意してください。

現在の 50 から 999 までの間の UID は以下のとおりです。

bind:*:53:53:Bind Sandbox:/:/sbin/nologin
majordom:*:54:54:Majordomo Pseudo User:/usr/local/majordomo:/nonexistent
cyrus:*:60:60:the cyrus mail server:/nonexistent:/nonexistent
gnats:*:61:1:GNATS database owner:/usr/local/shared/gnats/gnats-db:/bin/sh
proxy:*:62:62:Packet Filter pseudo-user:/nonexistent:/nonexistent
uucp:*:66:66:UUCP pseudo-user:/var/spool/uucppublic:/usr/libexec/uucp/uucico
xten:*:67:67:X-10 daemon:/usr/local/xten:/nonexistent
pop:*:68:6:Post Office Owner (popper):/nonexistent:/sbin/nologin
wnn:*:69:7:Wnn:/nonexistent:/nonexistent
pgsql:*:70:70:PostgreSQL pseudo-user:/usr/local/pgsql:/bin/sh
oracle:*:71:71::0:0:Oracle:/usr/local/oracle7:/sbin/nologin
ircd:*:72:72:IRC daemon:/nonexistent:/nonexistent
ircservices:*:73:73:IRC services:/nonexistent:/nonexistent
ifmail:*:75:66:Ifmail user:/nonexistent:/nonexistent
www:*:80:80:World Wide Web Owner:/nonexistent:/sbin/nologin
alias:*:81:81:QMail user:/var/qmail/alias:/nonexistent
qmaild:*:82:81:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
qmaill:*:83:81:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
qmailp:*:84:81:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
qmailq:*:85:82:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
qmailr:*:86:82:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
qmails:*:87:82:QMail user:/var/qmail:/nonexistent
mysql:*:88:88:MySQL Daemon:/var/db/mysql:/sbin/nologin
vpopmail:*:89:89:VPop Mail User:/usr/local/vpopmail:/nonexistent
firebird:*:90:90:Firebird Database Administrator:/usr/local/firebird:/bin/sh
mailman:*:91:91:Mailman User:/usr/local/mailman:/sbin/nologin
gdm:*:92:92:GDM Sandbox:/:/sbin/nologin
jabber:*:93:93:Jabber Daemon:/nonexistent:/nonexistent
p4admin:*:94:94:Perforce admin:/usr/local/perforce:/sbin/nologin
interch:*:95:95:Interchange user:/usr/local/interchange:/sbin/nologin
squeuer:*:96:96:SQueuer Owner:/nonexistent:/bin/sh
mud:*:97:97:MUD Owner:/usr/local/shared/dgd:/bin/sh
msql:*:98:98:mSQL-2 pseudo-user:/var/db/msqldb:/bin/sh
rscsi:*:99:99:Remote SCSI:/usr/local/rscsi:/usr/local/sbin/rscsi
squid:*:100:100:squid caching-proxy pseudo user:/usr/local/squid:/sbin/nologin
quagga:*:101:101:Quagga route daemon pseudo user:/usr/local/etc/quagga:/sbin/nologin
ganglia:*:102:102:Ganglia User:/nonexistent:/sbin/nologin
sgeadmin:*:103:103:Sun Grid Engine Admin:/nonexistent:/sbin/nologin
slimserv:*:104:104:Slim Devices SlimServer pseudo-user:/nonexistent:/sbin/nologin
fido:*:111:111:Fido System:/usr/local/fido:/bin/sh
postfix:*:125:125:Postfix Mail System:/var/spool/postfix:/sbin/nologin
rbldns:*:153:153:rbldnsd pseudo-user:/nonexistent:/sbin/nologin
sfs:*:171:171:Self-Certifying File System:/nonexistent:/sbin/nologin
agk:*:172:172:AquaGateKeeper:/nonexistent:/nonexistent
ldap:*:389:389:OpenLDAP Server:/nonexistent:/sbin/nologin
drweb:*:426:426:Dr.Web Mail Scanner:/nonexistent:/sbin/nologin
qtss:*:554:554:Darwin Streaming Server:/nonexistent:/sbin/nologin
ircdru:*:555:555:Russian hybrid IRC server:/nonexistent:/bin/sh
bacula:*:910:910:Bacula Daemon:/var/db/bacula:/sbin/nologin

以下は、現在予約されている GID の一覧です。

bind:*:53:
cyrus:*:60:
proxy:*:62:
authpf:*:63:
uucp:*:66:
dialer:*:68:
network:*:69:
pgsql:*:70:
www:*:80:
qnofiles:*:81:
qmail:*:82:
mailman:*:91:
postfix:*:125:
maildrop:*:126:
rbldns:*:153:
qtss:*:554:
ircdru:*:555:

このリストを最新の状態に保つためにも、 この範囲の UID や GID を予約するような port を作ったり、 既存の port にそのような改変を行なってわたしたちに送るときには UID の予約に関する注意書きをつけてください。

16.13. 合理的な port

Makefile は単純かつ適切であるべきです。もし、 Makefile を数行短かくできたり、 もっと読みやすくできるのであればそうしてください。 たとえば、 シェルの if 構文を使うかわりに make の .if 構文を使う、 EXTRACT* の再定義で代用できるのであれば do-extract を再定義しない、 CONFIGURE_ARGS += --prefix=${PREFIX} とするかわりに GNU_CONFIGURE とする、などです。

何かをするのに自分で新しくコードをたくさん書かなければならなくなった場合は、 戻って bsd.port.mk であなたがやろうとしていることが既に実装されていないか見直してください。 読むのは大変ですが、難しく見える問題で bsd.port.mk が簡単な解決法を提供しているものが数多くあります。

16.14. CC および CXX の尊重

Port は CC および CXX 変数を尊重すべきです。ここで言いたいのは、port は、既存の値を上書きしてこれらの変数をまるごと設定しなおすべきではなく、 その代わり必要な値を既存の値に追加してゆくべきだということです。 そうすれば、すべての ports に影響するビルドオプションをグローバルに設定できます。

Port がこれらの変数を尊重しない場合は、 MakefileNO_PACKAGE=ignores either cc or cxx を追加してください。

CCCXX 変数を尊重している Makefile の例を次に示します。?= に注意してください。

CC ?= gcc
CXX ?= g++

こちらは、CC 変数も CXX 変数も尊重していない例です。

CC = gcc
CXX = g++

FreeBSD システム上では、CC および CFLAGS 変数は、どちらも /etc/make.conf で定義できます。最初の例では、システム全体の定義を保存している /etc/make.conf で値がすでに設定されてない場合に限って、値を設定します。 2 番目の例では、すでに設定されていた内容を上書きしてしまいます。

16.15. CFLAGS の尊重

CFLAGS 変数は尊重すべきです。 ここでいいたいのは、port は、 既存の値を上書きしてこの変数をまるごと設定しなおすべきではなく、 その代わり必要な値を既存の値に追加してゆくべきだということです。 そうすれば、すべてての ports に影響するビルドオプションをグローバルに設定できます。

port がこれを尊重しない場合は、 NO_PACKAGE=ignores cflagsMakefile に加えてください。

CFLAGS 変数をきちんと考慮した Makefile の例を以下に示します。 += の部分に注目してください。

CFLAGS += -Wall -Werror

次は CFLAGS 変数を考慮しない Makefile の例です。

CFLAGS = -Wall -Werror

CFLAGS 変数は、FreeBSD システムの /etc/make.conf で定義されています。 最初の例では既存の定義を保存しつつ CFLAGS 変数にオプションフラグを追加しているのに対し、 二番目の例では既存の定義をすべて無効にしてしまっています。

16.16. コンフィグレーション (設定) ファイル

もしあなたの port が設定ファイルを PREFIX/etc に置く必要がある場合には、それを単純にインストールしたり、 pkg-plist に加えてはいけません。 こうしてしまうと pkg_delete(1) によってユーザが苦労して作ったファイルが消えてしまったり、 新しくインストールする時に上書きされてしまったりします。

かわりに見本となるファイルをサフィックス (filename.sample が良いでしょう) を付けてインストールしてメッセージを表示し、 ソフトウェアを動かす前にユーザがそのファイルをコピーして編集をしなければならないことを知らせましょう。

16.17. フィードバック

port を作るためにソフトウェアに変更を加えたら、 なるべく原作者にその旨を伝えてパッチ等を送ってください。 これらが次のリリースに取り入れられればアップグレードが楽になります。

16.18. README.html

README.html というファイルを含めてはいけません。 このファイルは、cvs コレクションの一部ではなく、 make readme コマンドで生成されるファイルです。

16.19. Port に BROKEN, FORBIDDEN などの印をつける

ある port にセキュリティ脆弱性があることが判明したり、 根本的に壊れてしまい修正に何時間もの注意深い作業が必要になったり、 基本的には廃れてしまったものの、 何らかの理由で ports ツリーには残される (もちろんあとで修正しますよね?) という日が来るのは避けられません。 ある port が壊れていることを示すために、port の Makefile では 3 つの make 変数が使えます。以下の make 変数の値は、 その port が壊れている理由を説明するためにユーザに示されます。 それぞれの make 変数は、ユーザと Makefile を処理する自動化システムに対して根本的に異なる意味を伝えますので、 正しい make 変数をお使いください。

  • BROKEN は、動作しないためインストールすべきでない port 用のものです。これは、ユーザがその port をインストールしないようにしますが、 BROKEN とされた port は Bento クラスタで引き続きビルドされます。 ユーザには port をインストールしてほしくないけれども Bento ではビルドしてほしい場合は、port を BROKEN にしてください。

  • FORBIDDEN は、セキュリティ脆弱性があったり、その port をインストールすると FreeBSD システムの安全性に重大な懸念を生じる (たとえば、セキュアでないという評判があるプログラムや、 容易に悪用できるサービスを提供するプログラムなど) port 用のものです。 あるソフトウェアの一部に脆弱性があることが判明し、 修正がリリースされていない場合は FORBIDDEN にすべきです。 理想的には、セキュリティ脆弱性が発見された時は、 脆弱性を抱えた FreeBSD ホストの数を減らすために、 ただちに ports を更新すべきです (我々は、セキュアであるという評判を得たいのです)。 しかし、脆弱性が公表されてから、 脆弱性を抱えたソフトウェアの新しい版がリリースされるまでに無視できない時間があくことがままあります。 セキュリティ以外の理由で port を FORBIDDEN にしないでください。

  • IGNORE は、どんな理由であれビルドすべきではない port 用です。 ユーザも Bento クラスタ も、どんな状況であれ IGNORE とされた port はビルドしません。 嘘だと思うなら、port のビルドを妨げるのに IGNORE を使ってみてください。

この変数を使うのは、port が更新できない場合の最後の手段にしてください。 ずっと壊れたままの port は、ports ツリーから完全に削除すべきです。

16.20. 必要な回避策

古いバージョンの FreeBSD のソフトウェアにあるバグを回避する必要があることがあります。

  • make(1) は、少なくとも 4.8 と 5.0 を含むいくつかのバージョンで、OSVERSION に基づく比較に関してバグがあります。 これは、make describe の最中にエラーを起こすことになりやすく (したがって make index 全体も失敗することに) なります。回避策は、条件比較を括弧にいれることで、たとえば

    if ( ${OSVERSION} > 500023 )

となります。4.9 と 5.2 で port のインストールテストを行っても、 この問題は見つかりません

16.21. その他諸々

ファイル pkg-descrpkg-plist はそれぞれ二重にチェックしてください。 再検討してもっと良い記述があればそれに置きかえてください。

GNU General Public License (GNU一般公有使用許諾) のコピーは (すでにあるので) コピーしないでください。 お願いします。

法律に関することには十分注意をはらってください。 わたしたちに法律に反するような形でソフトウェアの配布をさせないでください!

16.22. 困ったら…​

わたしたちに質問を送る前に、 既存の port の例と bsd.port.mk をちゃんと読んでください! ;)

それでもわからないことがあったら一人で悩まないでどんどん質問してください! :-)


最終更新日: 2021年12月11日 by Sergio Carlavilla Delgado