18.4. 開発ブランチを追いかける

FreeBSD には二つの開発ブランチがあります。 それは FreeBSD-CURRENT と FreeBSD-STABLE です。

この節ではそれぞれのブランチと対象としている読者についての説明と、 どのようにしてシステムの対応するブランチを最新の状態に保つかについて説明します。

訳: 花井 浩之 、1996 年 11 月 6 日

18.4.1. FreeBSD-CURRENT を使う

FreeBSD-CURRENT とは FreeBSD の開発の 最前線 なので、 FreeBSD-CURRENT のユーザは高い技術力を持つことが要求されます。 そこまでの技術力を持っていないが、 開発ブランチを追いかけたいと考えているユーザは、 かわりに FreeBSD-STABLE を追いかけると良いでしょう。

FreeBSD-CURRENT は FreeBSD の最新のソースコードであり、 中には現在開発途上のソフトウェア、 実験的な変更、あるいは過渡的な機能などが含まれています。 また、この中に入っている機能がすべて、 次の公式リリースに入るとは限りません。FreeBSD-CURRENT をソースからほぼ毎日コンパイルしている人はたくさんいますが、 短い期間ではコンパイルさえできない状態になっている時期もあります。 これらの問題は可能な限り迅速に解決されますが、 FreeBSD-CURRENT が不幸をもたらすか、 それとも新しい機能をもたらすかは、 まさにソースコードを同期した瞬間によるのです!

FreeBSD-CURRENT は、 次の 3 つの重要なグループを対象としています。

  1. ソースツリーのある部分に関して活発に作業している FreeBSD コミュニティのメンバ。

  2. 活発にテストしている FreeBSD コミュニティのメンバ。 彼らは、種々の問題を解決するのに時間を惜しまない人々であり、 さまざまな変更に関する提案や FreeBSD の大まかな方向付けを行ないたいと思っている人々でもあり、 パッチも提出します。

  3. さまざまな事に目を向け、 参考のために最新のソースを使いたいと思っていたり、 時々コメントやコードを寄稿したいと考えているユーザ。

FreeBSD-CURRENT は、次のリリースの前に、 最も早く新しい機能を入手する手段として、 期待してはいけません。 リリース前の機能は十分にテストされていないため、 バグを含んでいる可能性が大いにあるためです。 また、バグを修正するための素早い方法でもありません。 いかなるコミットは、元からあるバグを修正するのと同じく、 新しいバグを生み出すおそれがあります。 FreeBSD-CURRENT には 公式のサポート はありません。

FreeBSD-CURRENT を追いかけるには

  1. freebsd-currentsvn-src-head メーリングリストに加わってください。 さまざまな人がシステムの現在の状態について述べているコメントを見たり、 FreeBSD-CURRENT の現在の状態に関する重要な情報を見逃さないために、 必須の ことです。

    svn-src-head メーリングリストでは、 それぞれの変更についての commit ログが記録されています。 また、それに関して起こり得る副作用の情報を得ることができますので、 参加する価値のあるメーリングリストです。

    これらのメーリングリストに入るには、 http://lists.FreeBSD.org/mailman/listinfo をたどって参加したいメーリングリストをクリックし、 手順の説明にしたがってください。 FreeBSD-CURRENT だけでなく、 ソースツリー全体の変更点を追いかけるのであれば、 svn-src-all メーリングリストを購読してください。

  2. FreeBSD-CURRENT のソースを同期してください。 特に svn を使って Subversion ミラーサイト」 の一覧にある Subversion ミラーサイトのひとつの head ブランチから -CURRENT コードをチェックアウトしてください。

  3. インターネットの接続がとても遅かったり、 制限がある場合には、 「CTM を使う」 で説明されている CTM を利用すると良いでしょう。 ただし、svn ほどには信頼はできないので、 svn を利用されることを推奨します。

  4. リポジトリのサイズが大きいため、興味のある部分や、 パッチを当てる部分のソースのみを同期するユーザもいます。 しかしながら、 ソースからオペレーティングシステムをコンパイルしようと思っているユーザは、 一部分だけではなく、FreeBSD-CURRENT の すべて をダウンロードする必要があります。

    FreeBSD-CURRENT をコンパイル する前に /usr/src/Makefile を注意深く読み、 「world の再構築」 に書かれている手順に従ってください。 FreeBSD-CURRENT メーリングリスト/usr/src/UPDATING を読めば、 次のリリースへ向けて移ってゆくに当たって、 ときどき必要となる既存システムからの新システムの構築手順についての最新情報が得られるでしょう。

  5. アクティブになってください! FreeBSD-CURRENT のユーザには、 拡張やバグ潰しに関して提案することが勧められています。 コードを伴う提案はいつでも歓迎されます!

18.4.2. FreeBSD-STABLE を使う

訳: 岩崎 満

FreeBSD-STABLE とは定期的に公開されるリリースを作成するための開発ブランチです。 このブランチに加えられる変更は FreeBSD-CURRENT よりゆっくりで、 原則として、事前に FreeBSD-CURRENT で試験ずみであるという特徴があります。 ただそうであっても、 これは開発用ブランチの一つであり、ある時点における FreeBSD-STABLE のソースがどんな場合にも使えるものであるとは限りません。 このブランチはもう一つの開発の流れというだけであって、 エンドユーザ向けのものではありません。 もし試験をする資源的な余裕がない場合は、代わりに最新の FreeBSD リリースを使ってください。

FreeBSD の開発プロセスに興味があったり、 それに対する貢献を考えていて、特にそれが次回の FreeBSD のリリースに関係するものであるなら FreeBSD-STABLE を追うことを考えると良いでしょう。

FreeBSD-STABLE ブランチはいつもコンパイルができ、 安定に動作すべきですが、 それが保証されているというわけではありません。 FreeBSD-STABLE のユーザは FreeBSD-CURRENT よりも多いため、FreeBSD-CURRENT で発見されなかったバグが FreeBSD-STABLE で発見され、 ときどきそれが問題となることがあるのは避けることができません。 このような理由から、盲目的に FreeBSD-STABLE を追いかけるべきではありません。 特に、開発環境もしくはテスト環境でコードを十分に試験せずに、 プロダクション品質が要求されるサーバを FreeBSD-STABLE にアップグレードしてはいけません

FreeBSD-STABLE を追いかけるには

  1. FreeBSD-STABLE の構築に関連する事柄や、 その他の注意すべき点 に関する情報を得るために、 freebsd-stable メーリングリストに加わってください。 また開発者は議論の余地がある修正や変更を考えている場合に、 このメーリングリストで公表し、 提案された変更に関して問題が生じるかどうかを返答する機会をユーザに与えます。

    追いかけているブランチに関連する svn メーリングリストに参加してください。 たとえば、9-STABLE ブランチを追いかけているユーザは svn-src-stable-9 メーリングリストに参加してください。 このリストでは、変更がなされるごとに作成される commit log やそれに伴う起こりうる副作用についての情報が記録されています。

    これらのメーリングリストに入るには、http://lists.FreeBSD.org/mailman/listinfo をたどって参加したいメーリングリストをクリックし、 手順の説明にしたがってください。 ソースツリー全体の変更点を追いかけるには、 svn-src-all メーリングリストを購読してください。

  2. 新しい FreeBSD-STABLE システムをインストールするには、 ミラーサイト から最近の FreeBSD-STABLE リリースをインストールするか、 毎月公開されている FreeBSD-STABLE からビルドされたスナップショットを使ってください。 スナップショットの詳細については、www.freebsd.org/ja/snapshots をご覧ください。

    既に FreeBSD が動いているシステムを FreeBSD-STABLE にアップグレードするには、 svn を使って、 希望する開発ブランチのソースをチェックアウしてください。 stable/9 といったブランチ名は、 www.freebsd.org/releng で説明されています。 インターネットへの接続に信頼できる回線を利用できないのであれば、 CTM (「CTM を使う」) を使ってください。

  3. FreeBSD-STABLE をコンパイルしたり FreeBSD-STABLE へとアップグレード する前に、 /usr/src/Makefile を注意深く読み、 「world の再構築」 に書かれている手順に従ってください。 FreeBSD-STABLE メーリングリスト/usr/src/UPDATING を読んで、 次のリリースへ向けて移ってゆくに当たって、 ときどき必要となる既存システムからの新システムの構築手順についての最新情報を得てください。

本文書、および他の文書は ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/doc/ からダウンロードできます。

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本文書に関する質問については、 <doc@FreeBSD.org> まで電子メールを (英語で) 送ってください。